「どちらともいえない」は難しい問題

調査でよく使われる評価方法に、「リッカート尺度」があります。
「そう思う」~「そう思わない」のように多段階の選択肢を並べて、あてはまるものを選んでもらう方法です。

ここで問題になるのが、選択肢に「どちらともいえない」を含めるかどうか?です。

○ 態度があいまいな人用に「どちらともいえない」を含むほうがよい

× 白黒ハッキリさせるために「どちらともいえない」を含めないほうがよい

の2通りの立場があり、

「どちらともいえない」を回答選択肢に含めるかどうかは、「どちらともいえない」のが実情

と言われるほど、意見が分かれています。

「どちらともいえない」を選ぶ4つのパターン

そもそも「どちらともいえない」を選ぶ人は、4パターンに分類することができます。

1. 中間的な立場「どちらともいえない
2. 関心が薄い「どちらでもよい」
4. 理解不能/判断不能「どちらかわからない」
4. 判断負担・リスク回避「どちらかを選びたくない」

「どちらともいえない」を含んだほうがよいケース

選択肢に「どちらともいえない」を含まない場合、「どちらともいえない」や「どちらでもよい」人は、「白黒」いずれかの方向に分かれるわけですが、実際の気持ちは限りなく「グレー」に近いはずです。

また、「どちらかわからない」や「どちらかを選びたくない」人は、本来は「わからない/答えたくない」の選択肢に収まるべき人たちであり、この人たちを強制的に「白黒」いずれかに仕分けると、回答の誤差が大きくなってしまうおそれがあります。

さらに、「どちらともいえない」を選びやすい人たちがいるようにも感じています。いろいろな調査でセグメンテーション分析をすると、必ずと言っていいほど、何事に対しても中間的な回答をする人たちのグループが現れてきます。

「○○派」というような旗印がない人たちですので、「無関心層」と名付けられたりしますが、この「無関心層」がだいたい2割前後出現します。
「白黒」いずれかに仕分ける場合、本来であれば「どちらともいえない」を選ぶであろう「無関心層」がキャスティングボードを握ってしまう危険性があります。

従って、購入意向のような将来の「つもり」を答えてもらう場合には、「どちらともいえない」を含むほうが確かな意向を把握することができるでしょう。

工夫次第で「どちらともいえない」なしでもOK

安易に中間的な回答が選択されないように、「どちらともいえない」を含まないのもありです。

その場合には、「わからない」も選べるようにしておけば、例えば、過半数の質問で「わからない」を回答しているなど、「わからない」を回答する傾向が高い人は「棄権」したとみなして、サンプルから除くことができます。

満足度などの評価をしてもらう場合は「どちらともいえない」を含まない変形5段階評価方式にすると、満足度のレベル別に詳しく分けてみることができます。

基本的に、調査票設計に「正解」はありません。というか、調査をする前に「正解」を知ることはできません。
しかし、利用目的に照らして、できるだけ無理なく自然な反応を引き出すには、どういった聞き方がよいのか?を考えていくことで、少しでも「正解」に近づいていくことができます。

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