ゲーム感覚で救命方法を学ぶ

皆さんは駅や空港、学校や商業施設などでAED(自動体外式除細動器)が設置されているのを見かけたことがあるかと思いますが、実際に自分で使った経験がある、あるいは使用しているのを見かけたことがある人はいるでしょうか。

AEDはAutomated(自動化された) External(体外式の) Defibrillator(除細動器)の略で、心臓がけいれんを起こして血液を全身に送るポンプ機能が失われた状態(心室細動)の人に電気ショックを与えて正常に戻すための救命医療機器です。

2004年からは医療従事者以外の一般の人でも使えるようになり、病院や消防機関以外の一般施設でも設置が進んでいます。厚生労働省の研究班の報告によると、2004年以降の一般施設向けAEDの販売台数は累計で50万台を超え、毎年順調に伸びているそうです。

AEDは、ふたを開けて電源を入れると音声ガイドが以降の処置をわかりやすく教えてくれるので、落ち着いて指示に従えば誰でも適切に操作できるようになっています。

しかしながら、消防庁の発表によると、2014年に一般市民が心肺停止状態に陥った人を目撃したのは約25,000件、そのうち一般市民によりAEDによる除細動が実施された症例はわずか4%の1,000件程度にとどまっています。近くにAEDが見当たらなかったケースもあるでしょうが、もしあったとしても救急車を呼ぶのがせいぜいで一般の人が生死に関わる行為に踏み切るのはかなり勇気が必要なんでしょうね。

心停止に陥った場合の処置は1分1秒を争う時間との勝負です。1分以内であれば除細動による救命率は9割近いものの、その後は1分ごとに成功率が7~10%低下していくそうです。地域によって差はありますが、救急車の到着までの所要時間は平均8分程度となってますので、救急車の到着を待たずに可能な限りの処置をする必要があります。

先日、日本循環器学会の「減らせ突然死プロジェクト実行委員会」が、心臓マッサージ(胸骨圧迫)やAEDの使用方法をゲーム感覚で学べる動画を作成しました。

●「心止村湯けむり事件簿」
http://aed-project.jp/suspence-drama/

温泉に出掛けた高校生が宿泊先の旅館で男性が突然倒れる事態に遭遇し、周囲の人達と協力しながら蘇生を試みるという設定で、視聴者はストーリーの途中で出される質問に回答しながらAEDの使い方など救命処置について学んでいく内容です。
例えば、最初の質問は

Q1. 倒れている人を見つけたら?

・肩をたたいて大きな声をかけ、反応を見る
・安易に触らず、様子を見る

といった具合です(正解は「肩をたたいて大きな声をかけ、反応を見る」)。

AEDの使用方法については一般向けの講習会が開かれたりしていますが、なかなか受講する機会はないでしょう。インターネット上の動画なら手軽に視聴できますし、ゲーミフィケーションの要素も採り入れながら心肺蘇生の現場をできるだけリアルに追体験できればAEDに対する理解や関心も深まりそうですね。