先日、異物混入の疑いがあるため廃棄委託された冷凍カツが横流しされスーパーの店頭に並んだ問題が発覚しました。利益優先で消費者の食の安全をないがしろにするのは言語道断ですが、一方で廃棄食品の多さについても改めて考えさせられます。

日本で1年間に廃棄される食品は約2,800万トンで、これは食料全体の国内消費仕向量のおよそ3割が捨てられている計算になります (農林水産省と環境省による平成24年度推計)。

出展:平成24年度「食品循環資源の再生利用等実態調査」(農林水産省)

この中には飼料・肥料・エネルギー化などに再利用されるものもありますが、まだ食べられるのに商品の売れ残りや家庭での食べ残し等の理由で廃棄される「食品ロス」が640万トン以上にのぼると推計されています。

食品ロスを減らすには、食品メーカー、流通業者、小売り・飲食店、家庭などそれぞれの取り組みが欠かせませんが、食品ロスの半数近くは家庭から出されているといわれてますし、消費者の立場としても私たち一人ひとりが食べ物を粗末にしない意識を高めることが最も重要でしょう。

ある自治体で家庭から出される生ごみを調査したところ、約4割が食べ残しで、その半分は手つかずのままの食品、さらにその4分の1は賞味期限前のものだったそうです。

缶詰、カップめん、レトルト食品、スナック菓子などに表示されている「賞味期限」は期限を過ぎたらすぐに廃棄する必要があるわけではありませんが、長期保存が可能なだけについ必要以上に買いすぎてしまうことがあるのでしょうか。

一方、世界の食料援助量は年間600万トン程度で、FAO(国連食糧農業機関)の定義による「栄養不足人口」は世界で10億人を超えているといわれています。日本の食料自給率(カロリーベース)は40%程度で、大半を輸入に頼っていながら大量に無駄にしている状況には忸怩たる思いを禁じ得ませんね。

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