スポーツの種類別行動者率の変化

スポーツの種類別行動者率の変化

前回に引き続き、社会生活基本調査結果からスポーツについてのデータをご紹介します。

今回ご紹介するのは、スポーツの種類別行動者率について、1986年(昭和61年)の結果と直近の2016年(平成28年)の結果を比較したものです。

※行動者率:15歳以上人口に占める過去1年間に該当する種類の活動を行った人の割合(%)
出典「昭和61年/平成28年社会生活基本調査結果」(総務省統計局)

ちなみに1986年というと、バブル景気が始まったとされている年ですが、感覚的にはバブルのちょっと前といった感じでしょうか。以下のような結構大きな事柄があった年です。

1月 スペースシャトル「チャレンジャー」打ち上げ事故。
4月 チェルノブイリ原子力発電所事故。
5月 英皇太子夫妻来日。
10月 NTT株売り出し。
12月 バブル景気の始まり。

少々脱線してしまいましたが、1986年調査に比べて「器具を使ったトレーニング」(6.8%→16.6%)、「サッカー」(3.6%→8.2%)などでは行動者率が上昇している一方で、「水泳」(26.1%→9.9%)、「ソフトボール」(16.6%→4.0%)、「ボウリング」(24.0%→14.2%)、「バレーボール」(12.4%→3.7%)などでは行動者率が大きく低下しています。

水泳といえば、体力の向上やダイエットなどに効果的なスポーツというイメージがありますが、健康・フィットネスへの関心が高まる中で、30年前に比べ、行動者率が1/3に激減しているのですね。意外に思われる方も多いのではないでしょうか。

さらに、それぞれのスポーツについて、年代別の行動者率の推移をみてみました。
どうやら、大きく4つのタイプに分けることができそうです。

【タイプ1】
50歳未満で行動者率が大きく低下しているスポーツで、水泳、野球の他に、ソフトボール、バレーボール、卓球などもこのタイプに分類されます。

【タイプ2】
特に20代前半の若者の行動者率が大きく低下しているスポーツです。
テニス、スキー・スノーボードというと、バブル時代のライトな若者スポーツの代表のようなイメージがありますね。
他には、バブルの20年くらい前に大ブームがあったボウリングも、スキー・スノーボードと似た折れ線の形をしています。

【タイプ3】
ゴルフと登山・ハイキングに見られる形で、50歳未満では行動者率が低下しているのに対して、60歳以上で行動者率が上昇しています。
60歳を過ぎてから始めた人が多いのか、60歳を過ぎても続ける人が多くなったのかはわかりませんが、ゴルフや登山・ハイキングはシニア層が親しむ代表的なスポーツであるといえそうです。
あと、いずれも50代で折れ線がクロスしているのが興味深いです。ことスポーツに関しては、50代はあまりトレンドに左右されない年代なのかもしれません。

【タイプ4】
20代でも行動者率が上昇しているスポーツです。
行動者率が10ポイント上昇した「器具を使ったトレーニング」をはじめとして、このタイプはいずれも全体での行動者率も上昇しています。

以上、様々なスポーツの行動者率を見てきましたが、全体的な傾向としては、休日に集まってみんなでプレーして楽しむタイプのスポーツから、一人で習慣的に続けるトレーニングへとシフトしている印象を受けます。
大胆な見方をすれば、バブル経済とその崩壊後の失われた20年を含む30年間で、日本人が「するスポーツ」は、バブル前夜の1986年のどこか刹那的で快楽主義的なものから、2016年にはストイックに鍛錬して自己を高めるものへと、そこに求める価値が変化してきているのかもしれません。