世の中には統計があふれていますが、正直なところ玉石混淆で正しく活用するのはなかなか難しいものです。
そもそもデータの取り方が間違っていたり、データは正しく収集してもアウトプットの表現が不適切だったりすると、大事な経営判断を誤ったり、国の重要政策に関わる世論をミスリードしたりする可能性もないとはいえません。
例えば、以下のようなケースを考えてみましょう。

あるスポーツクラブで、新規会員が減ってきた原因を探るため、入会時に行っているアンケート項目の中から「入会のきっかけ」について過去5年間の推移をみてみることにしました(図1)。

入会のきっかけの統計データ1

図1から「折り込みチラシ」の効果が高くなっているとして、このスポーツクラブでは折り込みチラシの数や頻度、配布地域を増やすことにしたのですが、果たしてこの判断は正しいでしょうか?

経年変化で割合を比較する場合には集計ベース(n数)にも気をつけなければなりません。
この例では、年によって入会者数にばらつきがあり、特に2017年は大きく落ち込んでいるため、割合だけではなく実数でも変化をみておく必要がありそうです(図2)。

入会のきっかけの統計データ2

そこで、図2を見ると「折り込みチラシ」が増えているとまでは言えず、むしろ「友人・知人の紹介」件数が大幅に減っている点が問題だと考えられます。また、「ホームページ」の効果も薄れてきているのかもしれないと気づきます。

数字やグラフで示されると説得力があるものですが、まずは疑ってかかる冷静さが統計リテラシーの第一歩ですね。

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