以前、楕円に近い形の変わった名刺をもらったことがあります。
デザインの凝ったものはいろいろ見かけますが、日本では名刺のサイズはほとんど55×91mmの長方形かと思います。縦横の比は1:1.655で、ほぼ黄金比になっています。

黄金比とは、古来“最も美しい比”とされ

a:b = b:(a+b)

となる比のことです。
図解すると、辺a、bの長方形に、長い辺の長さを一辺とする正方形をくっつけて(あるいは、短い辺の長さを一辺とする正方形を切り取って)できる長方形が、もとの長方形と相似になる場合、a:bは黄金比です。

黄金比

a:b = b:(a+b)

を二次方程式で解くと

b=(1±√5)/2・a

で、黄金比a:bは1:1.618・・・となります。だいたい5:8ですね。

黄金比は、オウム貝や松ぼっくりのかさ、ヒマワリの種の並びといった自然界に多く見られますが、パルテノン神殿や「モナリザ」など建築や美術にも意図的に用いられてきました。

例えば、「ミロのヴィーナス」は高さ204cmなのですが、つま先からおへそまでの長さを1とするとほぼ黄金比になります。

ちなみに、ミロのヴィーナスは紀元前100年頃の作品とされていますが、19世紀のはじめにエーゲ海のミロス島で発見されました。当時から両腕はなかったそうですが、プロポーションの美しさがより際立つように感じます。

ヴィーナス

ただ、自分の体型を考えると黄金比の美にはちょっと気後れしてしまう面もあります。

黄金比とともによく知られた貴金属比に「白銀比」があります。
こちらの比は1:√2(1.414…)です。

白銀比は別名、大和比とも言われるくらい日本では馴染みがあり、寺社や仏像、あるいはキティちゃんやアンパンマンなどアニメキャラクターの造形にも見られます。
確かに、日本人にとっては黄金比よりも白銀比の方に親しみを感じるかもしれません。

白銀比は、A4とかB5など紙のサイズにも用いられています。

A判はISO(国際標準化機構)規格ですが、縦横の長さの比率が白銀比(1:√2)で面積が1㎡となる長方形の大きさが「A0」と規定されています。A0は841×1,189mmになります。

縦横の長さが白銀比の長方形を「ルート長方形」というのですが、その特徴として半分に折っても縦横の比が変わらず相似形になり、この点が印刷物としては拡大・縮小も容易で便利なのです。「A0」を半分にすると「A1」で新聞の見開きとほぼ同じサイズになります。 「A1」の半分が「A2」、以下「A3」「A4」・・・と続いていくわけです。

Aサイズ

ちなみに、B判は日本独自のもので、江戸時代に公用紙として使われていた美濃和紙の大きさがもとになっています。B判はA判の面積の1.5倍となっており、例えばB4の1辺の長さはA4(210 × 297mm)の√1.5倍です。

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