2017年7月26日に行われた東京ヤクルトスワローズ対中日ドラゴンズ戦では、スワローズが0対10からの大逆転勝利を収めました。
逆転したのが、首位を走る広島東洋カープなら、「首位を独走するチームは、さすがに強いね」と納得しそうです。
ところが、シーズン10連敗以上を2度も記録し、最下位に沈むスワローズが、6回まで無得点に抑えられたうえに、10点もの大差をつけられながらも、大逆転を演じたというのがすごいところです。
ちなみに、10点差からの逆転勝ちはプロ野球タイ記録で20年ぶり4回目のことだそうで、過去の3試合のスコアは以下の通りです。
ロビンス(大陽ロビンス→松竹ロビンス、1953年に旧・大洋ホエールズと合併)は49年と51年の2回も10点差逆転勝ちを演じているのですね。
メジャーリーグでは、2001年8月5日のクリーブランド・インディアンス対シアトル・マリナーズ戦で、インディアンスが最大12点差から逆転勝ちしたそうです。
高校野球では、2014年の夏の高校野球の石川県大会予選で、星稜高校が0対8で迎えた9回裏に、一挙9点を挙げて逆転し、甲子園への出場を決めた試合が有名です。
「野球の神様」と言われるベーブ・ルースは「あきらめない奴に誰も勝てっこない」(You just can’t beat the person who never gives up.)と語ったそうですが、まさに「不撓不屈」の精神というか、決してあきらめない強い気持ちが、信じられないような大逆転勝利につながったのでしょう。
「あきらめない」に関連する調査データを探したのですが、ちょうどよいものが見つかりませんでしたので、ここでは「あきらめない」の“親戚筋”にあたる「粘り強さ」についての話をご紹介します。
2017年上半期にベストセラーとなったビジネス書に『やり抜く力 GRIT(グリット)――人生のあらゆる成功を決める「究極の能力」を身につける』(著者:アンジェラ・ダックワース)という本があります。
同書では、成功するために大切なのは、優れた資質よりも「情熱」と「粘り強さ」、すなわち「グリット(GRIT)」=「やり抜く力」であると指摘し、「やり抜く力」を測るグリット・スケールというツールを紹介しています。
このグリット・スケールでの測り方は簡単です。
まず、下の表の①~⑩までの文章のそれぞれについて、「まったく当てはまらない」~「非常に当てはまる」の中から自分にあてはまる番号を選びます。選んだ番号が点数になり、10項目の点数を合計して10で割った値がグリット・スコアになります。
グリット・スコアの最高は5(「やり抜く力」がきわめて強い)で、最低が1(「やり抜く力」がきわめて弱い)になります。
また、10項目のうち、奇数の項目の点数の平均が「情熱」のスコアとなり、偶数の項目の点数の平均が「粘り強さ」のスコアとなります。
因みに、アメリカ人の成人のグリット・スコアの平均は3.8点だそうですが、中間回答選好傾向が強い、つまりは5段階評価の真ん中の「3」を選ぶ割合が高い日本人の場合には、3点を少し超えたあたりが平均になるのではないかと思います。
もし、今のグリット・スコアが低い値だったとしてもあきらめる必要はありません。同書には、「やり抜く力」を伸ばす効果的な方法が紹介されていますので、あきらめずに続けることにより、大きく変わることができるそうですよ。
出典:Angela Duckworth (2016). Grit: The Power of Passion and Perseverance Collins. (アンジェラ・ダックワース 神崎 朗子(訳) (2016). やり抜く力 GRIT(グリット)――人生のあらゆる成功を決める「究極の能力」を身につける ダイヤモンド社)
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