先日、本欄でIR(統合型リゾート)について採り上げましたが、政府や自治体はインバウンド拡大の観光政策としてMICE誘致にも力を入れています。
MICEとは
Meeting 社員研修など企業の会議・研修・セミナー等
Incentive 企業等の社員表彰のための報奨・招待旅行等
Convention/Conference 国際会議、学術会議(学会)や国際大会
Event/Exhibition スポーツイベントなど各種イベントや展示会、見本市
の頭文字をとった言葉です。
国際的なイベントや会議が開催されると、会場費や機材レンタル、通訳・翻訳などに関する直接的な費用だけでなく、宿泊・飲食や観光などの間接消費(MICE参加者の消費額は一般の観光客よりかなり多いといわれています)が期待できますので、MICEの経済効果は魅力的なわけです。
ICCA(国際会議協会)の発表データによると、2015年に世界で開催された国際会議は12,076件と過去最高で、そのうち日本で開催されたのは355件でした。
出典:ICCA Statistics Report
注)ICCAによる国際会議の定義は「参加者総数が50人以上」「定期的に開催されている実績がある」「3カ国以上の持ち回りで開催されている」で、民間企業が主催する会議は含まない。
一方、都市別にみると、昨年、日本で最も国際会議の開催件数が多かったのは東京(80件)ですが、世界では28位で、シンガポール(156件)、ソウル(117件)、香港(112件)、バンコク(103件)、北京(95件)などアジアの他都市よりも少ない状況です。
出典:ICCA Statistics Report
注)ICCAによる国際会議の定義は「参加者総数が50人以上」「定期的に開催されている実績がある」「3カ国以上の持ち回りで開催されている」で、民間企業が主催する会議は含まない。
日本は東京以外にも国際会議やイベントを実施できるインフラが整った都市がたくさんある、という見方もできますが、近年では大規模な会議・イベントに対応できずに他国開催となる例が増えてきているのも事実です。
例えば、シンガポールのサンテックは最大収容人数12,000人の大会議場を備えています。香港のアジア・ワールド・エクスポは最大8,000人、ソウルのCOEXは7,000人といった具合なのですが、日本で5,000人規模の会議に対応できるのは東京国際フォーラムやパシフィコ横浜くらいに限られます。
2020年の東京オリンピックもあり観光立国に向けた機運が高まっていますが、特にMICEに関しては海外との都市間競争を考える上で規模の大きさも欠かせないポイントでしょう。
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