今や、日本人の2人に1人は花粉症や慢性のアレルギー性鼻炎に悩まされているといわれています。
花粉症の種類は60種ほど報告されているのですが、やはり日本ではスギ花粉症が代表的でしょう。スギ花粉症は1960年代に存在が知られるようになってから年々患者が増え続けています。地域や年によっても異なりますが、スギ花粉の飛散はだいたい2月頃から始まり4月下旬まで続きます。
花粉症対策は、マスクやメガネで防護したり、症状を緩和させる食べものや飲み物を摂取する等いろいろありますが、最近では、根本的な体質改善を目指し、あえて花粉エキスを徐々に体に取り込むことで免疫反応を抑えていく「舌下免疫療法」が注目されたり、“花粉米”の臨床研究も進んでいるそうです。
花粉症を引き起こすスギは日本の固有種で、ほとんどが植林された人工林です。スギは樹齢25年を過ぎた頃から数十年にわたり雄花をたくさんつけて花粉を飛ばすので、戦後に大量に植林され伐採されずに残っているスギは今後もしばらく花粉を撒き散らし続けるのは避けられない状況です。
スギ花粉の大きさは30μm(マイクロメートル)=0.03mm程度だそうです。ちなみに、毛髪の太さはだいたい70~80μm、PM2.5は2.5μmです。花粉の粒子は非常に小さいものですが、1本のスギの木からなんと1kgもの花粉が生み出されると言われています。
日本の国土およそ37万平方キロメートルの67%が森林なのですが、そのうち4割が人工林、なかでもスギが450万haと最も植林面積が多く(45%)、つまり国土の約12%はスギ林なのです。都道府県別にみると、東北と九州地方で特にスギ林が多いことがわかります。
花粉の重さは12ナノグラム(1ナノグラム=10億分の1g)と非常に軽く、地上数百メートルの高さまで巻き上げられると風に乗って最大500km以上も運ばれていきます。従って、スギ林の分布に関係なく花粉は全国に飛散するわけで、気流の条件としてはむしろスギ林の少ない都市部の方により多く花粉が降りそそぐこともあるわけです。
出典:林野庁「森林資源の現況」(平成24年)
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