今年のプロ野球は、セ・パともに3月31日(金)に開幕します。
その前に、3月7日(火)から、WBCの1次ラウンド東京プールが始まります。
右足首の故障による大谷選手の出場辞退は残念でしたが、侍ジャパンが期待通りに勝ち進めば、現地時間の22日(水)に、ドジャースタジアムでの決勝に臨むこととなります。
一方、国内では現在各地でオープン戦が行われており、復活を目指すベテランや、一軍定着さらにはレギュラー奪取を狙う若手たちがアピールを続けています。
さて、以前の記事「野球を科学する、セイバーメトリクス」でもご紹介しましたが、勝利数や奪三振率、ホームラン数や打率、など、様々なデータを眺めることもプロ野球の楽しみの一つです。
今回は、昨シーズンのセ・パ両リーグの個人打撃成績のデータを使って、コレスポンデンス分析を行ってみました。コレスポンデンス分析は、似た者同士を近くにマッピングして視覚的に把握する分析手法です。
分析に使用したデータは、規定打席(チーム試合数×3.1)に達した、セ・リーグ:27人、パ・リーグ:28人、合計55選手の、安打数、本塁打数、四球数、三振数のデータです。
分析の結果は以下の通りとなりました。
なお、グラフ中の選手を表す円のサイズは、その選手のOPS(On-base Plus Slugging)のレベルを表しています。OPSというのは長打率と出塁率を足し合わせただけの値ですが、得点との相関が高く、セイバーメトリクスによる打撃の指標として広く利用されています。
出典:日本野球機構公開データを加工して作成。他の図表も同様。
右上の筒香選手や山田選手がいるあたりは、ホームランが多く、相手バッテリーが最も警戒する「最強打者」ゾーンと考えてよさそうです。OPSも筒香選手が1.110で全55選手中第1位、第2位が山田選手で1.032です。 第3位は1.016の “神ってる”鈴木誠也選手で、規定打席到達選手のうち、OPSが1を超えているのはこの3選手のみです。
次に真ん中右寄りには、ロペス選手、レアード選手、メヒア選手など、やや打率は低いものの、一発の魅力があふれる外国人選手が集まっています。「最強打者」ゾーンの筒香選手は12.75打席に1本の割合でホームランを打っていますが、この「1本のホームランを打つのに要する打席数」が2番目に少ないのはロペス選手で3番目がレアード選手です。ここは「大砲」ゾーンとしてみましょう。
その反対側の左端は、川端慎吾選手、銀次選手、角中選手といった右投げ左打ちの好打者が多く集まっています。川端選手は全55選手中で三振する割合が最も低い選手です。ここは「巧打者」ゾーンとしてよさそうです。
残る一番下のゾーンでは倉本選手がとびぬけているようですが、他にも藤田選手、高山選手と、初球から積極的に振っていく選手が集まっています。ここは「早打ち」ゾーンとしましょう。このゾーンの選手たちの特徴は四球が少ないことです。
ちなみに、四球割合が最も高いのは柳田選手で、5.36打席に1個の割合で四球を選んでいます。
さて、以上の分析には二刀流の大谷選手は、規定打席数に達していないため含まれていませんが、もし、大谷選手が加わったらどうなるでしょう。また、巨人で活躍したのちに大リーグでも活躍した松井選手はどのあたりに位置づけられるのでしょうか。
そこで、昨シーズンの大谷選手、日本でのキャリアハイを記録した2002年シーズンの松井選手、そして、「松井を超えるか」との期待が集まる筒香選手の2014年・2015年シーズンの打撃成績のデータも加えて分析してみました。
やはり、松井選手が「最強打者」ゾーンの頂点近くに登場しましたね。2002年シーズンの松井選手は12.46打席に1本の割合でホームランを量産し、ホームラン数は50本、 OPSは1.153を記録しています。
一方、昨シーズンの大谷選手のOPSは1.004でしたが、まだ「最強打者」ゾーンの仲間入りはしていません。
昨シーズンの時点で、2002年の松井選手に最も近い位置にいるのは筒香選手ですが、過去3年間の軌跡をたどってみると、2014年は、やや粗さの目立つ「大砲」ゾーンの近くだったのが、2015年は確実性を増して、2016年には「最強打者」ゾーンへと大きくジャンプしています。
2002年、松井選手は入団10年目の28歳でした。
現在、筒香選手は25歳で、今年入団8年目を迎えています。
山田選手は24歳、さらに鈴木選手と大谷選手は22歳です。
日本球界最強のバッターへとしのぎを削る、若きスラッガー達の才能が眩しいほどに輝くシーズンが始まります。
【次はこちらもおすすめ】