日本人なら知っておきたいお風呂のルーツ

朝晩はめっきり冷え込んできて、温かいお風呂が有難い季節になってきました。

火山大国である日本は温泉資源に恵まれ、日本人は古くから温泉に親しんできました。

自然に温かいお湯が得られ、しかも病気や怪我の治療にも効果がある温泉は、特に昔の人々にとって貴重な存在だったことでしょう。石器時代の遺跡には既に温泉利用の痕跡が見つかっているそうですし、「古事記」「日本書紀」など古代の文献にも温泉が登場します。

環境省の調べによると、平成25年度における全国の温泉地 (宿泊施設のある場所)数は3,098ヵ所(最多は北海道の249、最少は沖縄県の7)で、温泉地の年間宿泊利用人数はのべ1億2,640万人にものぼります。ほぼ国民一人当たり年1回は温泉に旅行していることになりますが、日帰りも含めると利用数はもっと増えるでしょう。

先日、東京・大手町に温泉が出て、来春には高層ビル内のフィットネス施設で「大手町温泉」が開業すると話題になりましたが、日本中どこから温泉が湧出しても不思議ではなく、川崎にもいくつか“温泉”があります。

さて、体を洗う目的で入浴の習慣が広まったのは仏教の影響とされ、お風呂のルーツも体を洗い清める沐浴のため寺院が浴室を開放した施浴からといわれています。お風呂といっても当時は蒸し風呂が主流で、首まで湯に浸かる現在の入浴スタイルが始まるのは江戸時代に入ってからのことです。

1960年代には全国に2万軒以上の銭湯がありましたが、その後は内風呂の普及などの影響もあり減少の一途をたどっています。厚生労働省の平成26年度「衛生行政報告例」によると、2014年の一般公衆浴場(いわゆる銭湯)数は全国で4,293軒と最盛期から5分の1程度にまで激減しており、しかもほぼ毎日1軒ずつ減っていくような減少ペースが続いています。銭湯の入浴料金は物価統制で都道府県毎に一律に決められており(神奈川県の現在の入浴料は大人470円)、各種の助成があるとはいえ1日の採算ラインは集客数200人前後だそうで経営環境はかなり厳しいと思われます。

川崎浴場組合連合会に加盟している銭湯の数は10月現在で51軒です。川崎市と多摩川を挟んで隣接する大田区は意外にも都内で最も銭湯が多い地域で、川崎市と合わせて約100軒の銭湯が集まる“銭湯のまち”を形成しています。

ふだん銭湯には行かないという方も、たまにはご近所の銭湯でゆったり手足を伸ばして体を温められてはいかがでしょうか。