【7回でわかる!市場調査の基本活用術シリーズ第2回】
はじめに
「数字を見るのは大事。でも数字だけを見ても世界はわからない。
同じように、物語(言葉)だけを見ても世界はわからない。」
これはスウェーデンの統計学者ハンス・ロスリングの著書FACTFULNESSに出てくる言葉です。
リサーチの世界に置き換えると、数字=定量調査、物語=定性調査になります。
市場調査にはこの2つの基本的なアプローチがあります。
担当者としてこの違いを知っておくだけで、調査会社への依頼や調査結果の理解がぐっとスムーズになります。
調査の2つの基本タイプ
簡単に言えば、「広く数字で把握するのが定量」「深く理由を知るのが定性」です。
[定量調査(数値で表す調査)]
- 大人数を対象にして、回答を数字や割合で示す
- 「〇%の人が満足している」「平均点は△点」といった形で結果が出る
- 客観的で比較しやすい
[定性調査(言葉で表す調査)]
- 少人数を対象に、意見や感情を深く掘り下げる
- インタビューやグループディスカッションなど
- 背景や理由を理解するのに役立つ
それぞれのメリット・デメリット
それぞれについて、主なメリットとデメリットをまとめると以下の通りです。
定量調査
[メリット]
- 客観的なデータが得られる
- 属性(年代、性別など)ごとの比較が可能
- 社内での説得材料にしやすい
[デメリット]
- 表面的な結果しかわからないこともある
- 「なぜそう思ったか」の理由まではつかみにくい
定性調査
[メリット]
- 顧客の本音や感情に触れられる
- 新しい気づきや仮説を得やすい
- 数字に出にくい背景が見えてくる
[デメリット]
- サンプルサイズが小さく、一般化が難しい
- 実施や分析に時間がかかる
- インタビュアーや分析者の力量に左右されやすい
両者をどう組み合わせるか
定量・定性の両方には、それぞれ「足りない部分」があります。
だからこそ、両面からアプローチすることで強みが増すわけです。
Step1:定性調査で仮説を立てる
例:インタビューで「離脱理由は接客対応かもしれない」と気づく
Step2:定量調査で検証する
例:アンケートで「離脱理由:接客対応」が何%なのか確認する
逆に、定量調査の結果を深掘りするために定性調査を行うこともあります。
例:アンケートで「満足度が低い層」を特定 → インタビューでその理由を詳しく掘り下げる
実際のビジネス現場では、アンケート(定量)が圧倒的に多く実施されます。
定量調査の結果を起点に定性調査で背景を探る「逆パターン」は、アンケートを“使える調査”に変えるための現実的かつ効果的なルートといえるでしょう。
調査では、「客観的で網羅的な情報(定量)」と「深く豊かな情報(定性)」をバランスよく引き出すことが理想です。
担当者として理解しておきたいこと
市場調査を“武器”としてビジネスに役立てるために、調査担当者として理解しておきたいポイントには以下のようなものがあります。
🔷定量・定性は、どちらが良い/悪いではない
→ 目的に応じて使い分ける
🔷調査会社に相談するときは「知りたいこと」の優先順位を伝える
→ 効果的な手法(組み合わせを含む)はプロが提案してくれる
🔷自由回答はミニ定性調査
→ 数字だけでなく“生の声”を拾える強力な手段
🔷調査はコミュニケーション
→ 設問文の工夫やインタビューのスキルによって結果が大きく変わる
まとめ
市場調査には「定量」と「定性」という2つの基本があります。
- 定量=広く数字で把握
- 定性=深く理由を理解
- 実務ではバランスよく組み合わせて使うのが理想
担当者としては、この違いを理解しつつ、「何を知りたいか」を整理して伝えることが大切です。
次回は「調査設計の第一歩~調査目的の整理と伝え方」を解説します。
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