先日、サッカーくじの「BIG」で、日本くじ史上最高額(公営競技を除く)となる10億2015円の1等当せんが6口生まれました。
通常回におけるBIGの当せん金の上限は6億円なのですが、先日の第745回では今年の西暦にちなみ最高10億2015円で販売されました。
日本におけるサッカーくじは、2001年のJリーグ開幕時にtotoが発売されたのが始まりです。totoは購入者が試合結果を予想してくじを買うのに対し、BIGは自分で予想する必要がなく、コンピュータが自動的に決めてくれるためサッカーに詳しくない人でも悩まずに済みますし、最近はコンビニやインターネットでも手軽に購入できるようになりました。
試合結果によっては、1等の当せん口数が少なかったりゼロだったりすることもありますが、その場合には余った金額を次回に繰り越し(キャリーオーバー)ます。キャリーオーバーが発生すると当せん金の原資が増えて当せん確率が高まりますし、それを目当てに購入者が増えれば販売総額も膨らみさらに期待値が上がります。
totoやBIGなどのサッカーくじは正式には「スポーツ振興投票」といい、当せん金の払戻しに充てられるのは販売額のおよそ50%で、収益はスポーツ振興のための助成に使われます。売上の約半分しか還元しないのでは割に合わない気がしますが、最高当せん額の魅力もあってか年々販売額が増え、2013年度には1,000億円を突破しました。
ちなみに、宝くじの年間販売額は9,135億円(2012年度)で、うち当せん金の支払いは46.9%、諸経費を除いた収益は発売元である都道府県や政令指定都市に渡され公共事業等に使われています。
(財)日本宝くじ協会が2013年に18歳以上の男女9,700人に対して行った調査によると、最近1年間に宝くじを購入した人の割合は全体の52.6%で、日本人の2人に1人は毎年何かしら宝くじを買っているようです。
宝くじの購入状況
サッカーくじや宝くじの還元率は法律の規制もあって5割前後と低く抑えられていますが、競馬や競輪など公営ギャンブルでは約75%となっています。
JRA(日本中央競馬会)の年間馬券売上高は、1997年に4兆円を超えたのをピークに下がり続けていましたが、2014年の業績速報値では約2兆5,000億円と3年連続の増収となり何とか持ち直しつつあるようです。
また、一時は30兆円産業といわれたパチンコ業界ですが、『レジャー白書2014』によると2013年の売上(貸玉料金の合計)は18.8兆円とのことです。それでも、鉄鋼業全体の売上高が約17兆円(2013年法人企業統計)で、それを上回るのですから途方もない市場規模ですね。
ちなみに、パチンコ・パチスロの還元率は、台による当たり外れが大きいこともあって、宝くじや競馬・競輪などと同列に比較して述べることは難しいのですが、およそ80~85%とされています。
還元率だけでみると宝くじ等よりずっと有利なように思えますが、習慣性や頻度を考えると一概に言えません。すなわち、「年に数回宝くじを購入する」「1日に何レースか馬券を買う」「パチンコ台の前で長時間過ごす」ことを比べると、実際の資金減少のリスクは個別の還元率の良し悪しで測れないことがお分かりでしょう。
厚生労働省研究班の調査によると、ギャンブルをしたい気持ちが抑えられない「ギャンブル依存症」の疑いがある人は成人の約5%で、国内に536万人ほどいると推計されています。
なお、2012年に弊社で実施したライフスタイル調査の結果では、1ヵ月あたりの「パチンコ・競馬などのギャンブル代」は、全体平均(「0円=ギャンブルをしない」人も含む)で1,550円、月に10,000円以上使う人の割合は6.4%でした。
月々のパチンコ・競馬などのギャンブル代
行動経済学の知見では、「人間は本来リスク回避傾向があるが、1回あたりの支出(損失)が少ない場合は積極的にリスクを取ろうとする」とのことです。
経済合理的になりきれず射幸心を煽られがちなのが人間の性(さが)かもしれませんが、時には過度なリスクに身をさらしていないかどうか冷静に自己を見つめ直す判断力も持ちたいものです。
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