CVM分析とPSM分析
商品・サービスの価格調査手法には、PSM分析の他にCVM分析があります。
CVM(Contingent Valuation Method:仮想評価法)は、もともと環境保全など公益事業の便益(いくらの価値があるか?)を測る手法ですが、商品・サービスの価格調査にも応用できます。
PSM分析は、消費者に受け入れられる価格帯を測るのに適してますが、
- その商品・サービスに関して回答者がある程度の相場観をもってないと、結果が現実的な価格帯に収れんしないこともある
- 導き出された受容価格帯において、いくらならどれくらい売れるか、といった価格別の購入意向がわかりづらい
といった問題もあります。
CVM分析は、アンケート対象者ごとに提示する金額を変えて「支払い意思(Willingness to Pay)額」を確認していていくことにより、価格ごとの購入意向の違いを測ります。
PSMが最適価格を探る分析なのに対し、CVMは価格変化に伴う購入シミュレーションが主目的となります。
CVMの質問方法
アンケートの対象者を100人ずつなどにグループ分けし、各グループで提示金額を変えて質問していきます。
例えば、あるグループには、まず「500円」での支払い意思を聞き、「支払ってもよい」と答えた人にはさらに高い金額を、「支払いたくない」人にはより安い金額を提示して質問を続けていきます。
Q. この商品に「500円」支払ってもよいと思いますか。
1. 支払ってもよい
2. 支払いたくない
(「1. 支払ってもよい」と答えた人に)
Q. では、「550円」ならいかがですか。
1. 支払ってもよい
2. 支払いたくない
(「2. 支払いたくない」と答えた人に)
Q. では、「450円」ならいかがですか。
1. 支払ってもよい
2. 支払いたくない
対象者のグループごとに最初の提示金額を「500円」「700円」「300円」などと変えて質問していくことにより、全体として細かな価格ごとの購入意向データを収集していくわけです。
CVMの分析結果
当然のことながら金額が高くなるにつれて、その価格を受容する割合は低くなっていきます。
例えば、500円での販売を予定しているある商品についてCVM分析を行ったところ、下図のような結果となったとします。
全体ベースでみると、500円では全体の4割程度しか支払い意思を示していませんので、もう少し価格を引き下げた方がよさそうです。
しかし、性・年代など細かなセグメント別に分析してみたところ、15~29歳の女性では500円では7割近く、550円でも約6割と高い購入意向を示しており、ターゲットを絞り込めば販売価格の引上げを検討してもよいかもしれない、といったことが分かります。
PSM分析のように細かな価格情報を得られないのが難点ですが、いくつかの価格候補について購入意向を探りたいといった場合にはCVM分析もご検討してみてください。
PSM分析については、以下のページで詳しく説明しています。
※画像をクリックすると、説明ページが開きます。
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