販促やマーケティング上の問題には、具体的なものから漠然としたものまで様々あると思いますが、一つ言えるのは、そのままにしておくと改善されず、いい方向に進むことはまずないだろうということです。
問題に直面して困ったとき、市場調査で状況を的確に把握して市場のニーズを理解することで、問題を解決して新たな可能性を探ることができます。
新規開拓のためのマーケティング強化
あるホテルからの相談です。
コロナの影響もあり赤字が続いている。
マーケティングに関しては今まで“待ち”のスタンスで特に新規開拓をしてこなかった。地域住民をターゲットにしたいので、彼らのニーズを知りたい。
コロナ禍では消費者の行動・心理が大きく変化しました。
それに伴い、従来はあまり営業活動に力を入れてこなかった事業者を含め、新規開拓のためのマーケティング強化に動き出しています。
新規開拓のための2つのアプローチ
1 新たなターゲットを見つける
新規開拓のひとつの方法は、自社のリソースをムダにせず活用することを主目的に、ターゲットを変えてサービスを展開することです。
たとえば、宿泊客が減少したホテルのデイユースプラン、利用客が減ったレストランが行うテイクアウト/デリバリー等です。
2. 新たな商品やサービスを開発する
もうひとつの方法は、顧客が欲していること、困っていること等から発想した商品・サービス開発を行うことです。
他社と差別化したり、コロナ後も持続する自社の「強み」としたりするためには、こちらの方が有効です。
自社の強みは、自社都合ではなく、顧客目線で決まる
マーケティングの基本は、常に顧客ニーズをリサーチし、お客様が求めていることの変化に応じて自社の強みを更新しながらターゲットに効果的に発信していくことです。
まずは既存顧客に現時点の強みを教えてもらう
顧客目線での現時点における自社の強みは、既存顧客に教えてもらう必要があります。
そのためには、まず購入者/利用者アンケートを実施してみます。
たとえば、ホテルの場合であれば、宿泊客だけでなく、レストランなど他の施設の利用客も含めて調査対象とし、以下のような質問をします。
利用実態パート | 利用目的(宿泊、飲食、その他)、利用回数(新規 or リピーター)、利用の理由、利用のきっかけ・情報源 |
満足度パート | 総合満足度と評価理由(自由回答)、要素別満足度 |
属性パート | 性別、年代、未既婚、職業、居住地 |
利用の理由や総合評価理由、要素別満足度などから、自社の思い込みではなく顧客が認めている自社の強みを知ることができます。
また、新規利用者とリピーターの結果を比較することにより、新規顧客にアピールする要素、リピートを促す要素も見えてきます。
評価の高い新規利用者の属性、利用のきっかけ・情報源がわかれば、新規獲得のターゲットや効果的な宣伝方法も浮かび上がってきます。
消費者のライフスタイルから今後の新たな強みを探る
既存顧客が教えてくれるのは、現時点の商品・サービスにおける強みです。
では、既存商品・サービスの延長ではなく、まったく新しい発想で従来と異なる客層も取り込めるような新たな強みというのは、誰に、どのように聞いたらよいでしょうか。
ホテルの場合、コロナ禍で利用目的が多様化してきました。また、客層についても、インバウンド需要はもとより出張や宴会などのビジネス利用が激減した一方、都道府県民割などの政策支援もあり、近隣からの利用客が増えてきています。
地元の人々にとっても、ホテルは非日常の場から、さまざまな生活シーンと地続きのライフステーションの機能・役割を果たすようになってきており、コロナ後もこの傾向は大きく変わらないと思われます。
そこで、従来のホテルの枠にとらわれない新たなサービス展開によって新規の利用客やリピーターを増やしていくためには、人々の暮らしに関わる様々な分野から、ホテルならではの価値提供ができないかどうかを探ることが有効です。
たとえば、地域住民をターゲットにする場合、そのエリア内の居住者を対象に、「消費行動」「価値観」「趣味・嗜好」「興味・関心分野」等、消費者のライフスタイルに関する質問をし、潜在顧客の好みや思考・行動パターンについて詳しい理解を積み重ねることにより、「こういうのが欲しい!」と喜んでもらえる商品・サービスの開発が可能になります。
ライフスタイル調査については、以下のページで詳しく説明しています。
※画像をクリックすると、説明ページが開きます。
新規開拓策検討のための市場調査の方向性(まとめ)
テーマ | ホテルの新規顧客開拓の方策を探ること |
有効なアプローチ | ① 既存顧客対象の調査で、新規顧客にアピールする要素、リピートを促す要素を見つける ② ターゲットとするエリアの居住者対象の調査で、ホテルならではの価値を提供できる新商品・新サービスの芽を見つける |
実際にリサーチプロジェクトを動かしていく際は、上記の概要を骨格として、仮説出しなどから細部の組み立てをしていきます。
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