令和2年(2020年)国勢調査の結果をみると、15歳以上での「有配偶」割合は55.6%と前回の平成27年(2015年)調査にくらべて1.3ポイント低下しています。逆の見方をすると「おひとりさま(お一人さま)」が増えているということです。
おひとりさまのモデルケースとして「単身世帯」についてそのお財布事情を調べてみました。

単身世帯の割合は4割に近づいている

令和2年(2020年)国勢調査では単身世帯割合は38.0%でした。2000年には27.6%でしたので、この20年で10%増えたことになります。
人口ベースでみても単身者の割合は増え続けており、全人口の17.2%がひとり暮らしをしています。

<ひとり暮らしの割合の推移>

ひとり暮らしの割合の推移
出典:総務省「国勢調査」

単身世帯の世帯主について性・年代別の割合をみてみると、男性では40歳未満、女性では65歳以上の割合が高い傾向が続いてますが、近年では若い女性の単身者割合が急速に伸びてきています。

単身者割合の推移(性・年代別)
出典:総務省「国勢調査」

ひとり暮らしの生活コストは割高

今後も単身者が増えていくことを考えると、ビジネスにおいてもおひとりさまの消費行動を念頭におく必要があります。
コロナ前の2019年に実施された「全国家計構造調査」によると、世帯人数別の1ヶ月あたり平均消費支出額は以下の通りでした。

1か月の消費支出額(平均)
出典:総務省「2019年全国家計構造調査」

1人あたりの生活費は世帯人数が多くなるほど割安になるでしょうが、例えば「等価可処分所得」という考え方では、世帯人数の平方根の値を用いて調整します。

上図の折れ線は

2人世帯:単身世帯の支出額の√2≒1.41倍
3人世帯:√3≒1.73倍
4人世帯:√4=2倍
5人以上世帯:√5.4≒2.32倍

の値を表しています。

さすがに2人世帯の生活費は単身世帯の1.41倍にはおさまらないようですが、世帯人数が多くなるほど1人あたりの支出額が抑えられる傾向は確かめられます。
逆の見方をすると、1人暮らしは食費や水道・光熱費などの生活コストが割高ともいえるわけで、そのことが彼・彼女らの消費行動に影響しないはずがありません。

ひとり暮らしの若者では生活費の半分が食事と住居費へ

性・年代別に単身者の消費内訳を品目カテゴリー別にみたのが下図になります。

性・年代別に見る単身者の消費内訳
出典:総務省「2019年全国家計構造調査」

全体で最も支出割合の高い食費について、若・中年層では、男性は外食が多く、女性は自炊する人が多いためか、男性の方が女性より食費の割合が高くなっています。ただ、65歳以上になると男女で違いはないようです。

住居費に関しては持ち家か賃貸かの違いが大きいのですが、39歳以下で負担が大きくなっています。
特に若い女性のひとり暮らしはコストをかけても安全を求める傾向が強いのか、住居費が食費を上回っています。また、他の世代よりも食費の割合が低く、住居費などをねん出するために食費を切り詰めている様子がうかがえます。

39歳以下では、男女とも、食費と住居費を合わせると約5割になってしまいます。
今後ますます増えてくるおひとりさまですが、特に若者のお財布事情はかなり厳しいようです。

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