一般にアンケートの分析というと、単純集計やクロス集計で平均を確認したり、特徴的な傾向を読み取ったりすることが多いでしょう。
さらにクロス集計に加えて、適切な多変量解析手法を活用すると、調査結果をもっと掘り下げたり広げたりしてみることができます。
今回は、調査データから更なる情報を引き出す方法として多変量解析についてご紹介したいと思います。
「多変量解析」と聞くと、
「なんだか難しそう」
「自分は文系だし…」
となりがちですが、心配はご無用です。
データの分析は、専門の市場調査会社に任せることができます。
消費者データの分析に精通したリサーチャーであれば、手元にあるデータや分析手法の限界を十分に認識したうえで、様々なパターンの分析を繰り返して、精度の高い分析結果を得ることができます。
クライアントである皆さんは、勘や経験も総動員して、分析結果のもつ意味合いを的確にとらえて、自社の顧客や市場に対する有効な打ち手を考えていくことが重要です。
皆さんが知っておいて損がないのは、
「どのようなことができて」
「どのようなときに使える」
手法なのかということだと思います。
ここでは、市場調査/マーケティングリサーチで活躍することが多い代表的な手法を4つ紹介します。
因子分析
因子分析は、データの背後に隠れている潜在的な要因を見つけ出す分析手法です。
たとえば、多数のブランドイメージ評価データから、「信頼性」「革新性」「親しみやすさ」イメージ因子を抽出するなど、ブランドイメージの分析などでよく利用します。
クラスター分析
データをいくつかの類似するグループ(クラスター)に分類する分析手法です。
ターゲット顧客を特定するためのセグメンテーションを行う場合によく利用します。
コレスポンデンス分析
似た者同士を近くに配置して、関係性を視覚的に把握する分析手法です。
競合とはひと味違った特徴を打ち出したいとか、ブルーオーシャンを見つけたいといった時のポジショニングを探るのに有効です。
クロス集計表さえあれば分析できますので、一般に公開されている調査結果にも利用できます。
上のクロス集計結果を使ってコレスポンデンス分析を行ったものが以下の「都市のイメージマッピング」です。
重回帰分析
データの関係性から影響度合いを特定する分析手法です。
認知度や満足度、好意度などを上げたいが、何から取り組めばよいか知りたいという時に有効です。
たとえば「最も重視するものを教えてください」とか「○○はどの程度重要だと思いますか」と質問しなくとも、重回帰分析を行えば、総合評価に与える個別評価の影響度、すなわち要素別の重要度を知ることができます。
要素別の重要度と満足度などの評価を組み合わせ、重要度が高いにもかかわらず満足度が低い要素があれば、そこが最優先で改善に取り組むべきところとなります。
さらに、重回帰式は販売数などの予測にも活用できます。
多変量解析(まとめ)
多変量解析は、以下のようなマーケティング課題への取り組みに役立つツールです。
- データをより深く解釈し、お客様に選ばれる商品・サービスの改善に役立てたい
- 有望なターゲットは、どのような人で、どこに、どれだけいるのか知りたい
- すべてが中途半端で終わってしまうことのないように、最優先で取り組むべきことを特定したい
クロス集計に加えて、適切な多変量解析手法を活用することにより、調査結果についてより深い解釈ができるようになります。
ご紹介した多変量解析手法についてもう少し詳しく知りたい場合には以下のぺージをご覧ください。
アンケートの分析で使える多変量解析手法~因子分析
アンケートの分析で使える多変量解析手法~クラスター分析
アンケートの分析で使える多変量解析手法~コレスポンデンス分析
アンケートの分析で使える多変量解析手法~重回帰分析
当社でも、前処理なしに分析に用いることができるデータをご用意いただける場合、1手法につき30,000円程度~お受けしています。