埼玉県にある事務用品の通販大手アスクルの物流倉庫で発生した火災は、沈静化するまでに丸6日もかかりました。
暖房機器の利用が増え、空気が乾燥する冬の時期は、一般家庭でも特に火災に注意が必要ですが、冬場だけではなく、春先にも火災が多く発生する傾向にありますので、普段から防災意識を高めておくことが大切ですね。

さて、消防庁の発表によると、2015年(1~12月)の出火件数は全国で39,111件でした。1日あたり100件以上の火災が発生していることになりますが、近年は減少傾向にあります。

年間の火災件数の推移

2015年に発生した火災を出火原因別にみると、全体では「放火(放火の疑いを含む)」が16.6%と最も多いですが、住宅火災(12,097件:全体の約3割)に限ると「こんろ(19.0%)」「たばこ(12.5%)」が上位になります。

主な出火原因の火災発生割合(2015年)

日本の消防は自治体(市町村)単位の組織体制になっています。万が一、火災が発生して119番通報する場合、各地の消防局・消防本部を通じて最寄りの消防署から消防車が出動することになります。
消防庁ホームページ上のデータによると、2016年における全国の消防署数は出張所も合わせると4,844(消防署:1,714、出張所:3,130)、消防職員の数は163,043人となっています。

余談ですが、消防職員には警察官と似たような階級があります。消防局・消防本部のトップ(消防長)は、自治体の人口規模により「消防司監」「消防正監」「消防監」が就きます。なお、東京消防庁のみトップは「消防総監」となりますが、これも警視庁と同様ですね。

日本においては各地の消防団も地域の消防・防災活動に重要な役割を果たしています。
消防団は、消防組織法に基づいて各市町村に設置される消防機関で、法的には消防局・消防本部などと同列の位置づけです。ただし、消防団員の多くは会社員や自営業者など他に本業をもっている人々で、彼らは非常勤特別職の地方公務員という身分になり、火災や災害の発生時には自宅や職場から現場に駆けつけ、消防署と連携しながら消火・救助作業を行います。また、平時でも火の用心など防災の見回りや独居老人宅への防火訪問、防災訓練や救急指導の実施など地元に密着した活動をしている消防団も多いです。

2016年における消防団員数は全国でおよそ86万人(うち、女性は2.8%で24,000人程度)なのですが、昭和30年代に比べると半数程度に減っており、団員の高齢化も進んでいます。災害補償があるとはいえ危険を伴う出動機会もあるでしょうし、叙勲や褒章の対象となる名誉も期待できるとはいえ、ほぼボランティアで長年活動を続けるのは容易なことではなさそうです。

一方、地域コミュニティの変質に伴い、女性や学生を積極的に受け入れたり、新たな消防団の役割を模索したりしているところも出てきています。興味のある方は以下のサイトなどをご覧になってみてください。

●総務省 消防庁 消防団ホームページ
http://www.fdma.go.jp/syobodan/index.html

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