内閣府が毎月行っている「景気ウォッチャー調査」をご存じでしょうか。
タクシー運転手、スーパーやコンビニの店長、自動車ディーラー、派遣社員など、さまざまな業種から、景気に敏感な人達をウォッチャーとして全国から2,050人選び、景気の現状や見通しを報告してもらうものです。
マクロ経済統計には表れにくい肌感覚の街角景気を知ることができ、また、月末の調査結果が翌月の第6営業日には発表されるという速報性も特徴です。
調査では、
○現状判断(水準) ・・・・・・・・ 現時点の景気状況
○現状判断(方向性) ・・・・・・ 3ヶ月前と比べた現在の景気
○先行き判断(方向性) ・・・・ 2~3ヶ月先の景気予測
について5段階評価で回答してもらい、それぞれの選択肢を回答した人の割合に
表のポイントを乗じた値を合計してDIを算出し、景気の判断指数とします。
下図は、2002年以降の3指数の推移を表したグラフです。
ここ10数年は、景況感の良し悪しの判断目安となる50を一時的に超えることがあっても、長続きせず反落してしまうパターンの繰り返しでした。
足元の景気判断となる「現状判断DI(水準)」は、「現状判断DI(方向性)」や「先行き判断DI(方向性)」に比べると評価が抑え気味な傾向がみられます。
以前に比べると景気が「良くなっている」、あるいは2~3ヶ月先は今より景気が「良くなる」とは言えても、景気低迷が長く続いたせいもあってか、現在の景気水準を「良い」とはなかなか言い切れない心理もありそうです。
景気の上昇局面では、「先行き判断DI(方向性)」が上昇し始めてから「現状判断DI(方向性)」「現状判断DI(水準)」が追随する形となっており、「先行き判断DI(方向性)」は景気の先行指標となりそうです。
一方、下落時においては、「先行き判断DI(方向性)」の方が「現状判断DI(方向性)」「現状判断DI(水準)」の低下に追いつかない場面もみられ、景気の転換点の判断はなかなか難しそうです。
リーマンショックや東日本大震災の際には3指数とも急落しました。
また、消費税率8%へ引き上げ直前の今年3月には、駆け込み需要により「現状判断DI(方向性)」「現状判断DI(水準)」が50を大きく上回る一方、消費の反動減を警戒してか「先行き判断DI(方向性)」は大幅に低下しました。この時点の動きはやや過敏だったようにも思われますが、再増税の行方によっては、また大きな動きがみられそうです。
内閣府のホームページでは、地域別の調査結果や、ウォッチャー達の景気判断理由の具体的なコメント等も見られます。
○内閣府「景気ウォッチャー調査」
https://www5.cao.go.jp/keizai3/watcher/watcher_menu.html
景気ウォッチャー調査結果をはじめ主な消費動向指標のトレンドは以下のページでご覧いただけます。
○消費統計トレンドチャート
https://anx.grooveworks.co.jp/?page_id=10077
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