“1枚のアンケート”で、すべての課題を解決しようとしていませんか?

「新規会員を増やしたい」「既存会員の満足度を高めたい」──どちらも重要な取り組みですが、目的が異なれば聞くべき内容も対象者も変わってきます。

にもかかわらず、すべてを1つのアンケートで済ませようとしてしまうと、データが混ざってしまい、適切な打ち手が見えなくなるリスクがあります。

本コラムでは、目的や顧客ステージに応じてアンケートを“分けて設計”し、連結的に活用する手法をご紹介します。

1. 「新規獲得」のためのアンケートは、“未入会層”も対象に

会員獲得を目的とする場合、多くの企業・団体が「新規会員」に入会理由や情報源を聞きます。しかし、“入会した人”だけの声では、見落としがあるのです。

たとえば、

「入会に迷っていたが、キャンペーンで決めた」
「チームのSNSで存在を知った」

こうした声は有益ですが、それだけでは「なぜ入会しなかったのか」「何がハードルだったのか」までは見えません。

💡 未入会層(一般)へのアンケートを併用することで、以下のような分析が可能になります。

対象分かること
新規会員入会の決め手、期待とのギャップ、情報源など
未入会層認知状況、好意度、加入意向、入会障壁(理由)など

「ファンになる前の声」に耳を傾けることで、認知拡大や興味喚起のポイントを発見できます。

2. 「関係強化」のためのアンケートは、経験者の声を深く掘る

関係性を深めるには、会員歴や利用回数に応じた「経験の質」を測る視点が欠かせません。

以下のように対象を分けると、より深い洞察が得られます。

対象聞くべき内容
既存会員(半年以上)満足度、継続意向、ファン度、要望など
熱心なファン応援動機、推奨意向(NPS)、ブランド連想など

ファン化を進めるうえでは、こうした“熱量の高い声”に注目することが重要です。

3. 3種類のアンケートを“連結”して使う

下図のように、目的と対象に応じた3種類のアンケートを設計し、結果を横断的に分析することで、「認知→入会→関係深化」のプロセス全体が見えるようになります。

▼ アンケート設計の全体像(目的別)

アンケート種別主な対象聞くことの例
一般向け未接触・非会員認知状況、入会意向、障壁など
新規会員向け入会半年未満決め手、きっかけ、満足点・不満点など
既存会員向け入会半年以上継続意向、要望、ファン度、他者への推奨意向

💡 共通項目(ブランドイメージやライフスタイルなど)を設定しておけば、対象間での比較も可能です。

一般→新規→既存と段階を追って調査することで、ボトルネックを明確化し、より成果に直結する施策を見出す手法。①一般向けアンケート・・・認知度、加入意向、情報源など。②新規会員向けアンケート・・・入会のきっかけ、満足度、情報源など。③既存会員向けアンケート・・・満足度、推奨意向、継続意向など。①~③共通・・・ブランドイメージ、ライフスタイル

※図:カスタマージャーニーに沿ったアンケート連結の例。一般→新規会員→既存会員と段階を追って設計することで、リピート行動やファン化の促進につながります。

4. 「地図」のように、全体像を描く─カスタマージャーニーを見える化し、最適な打ち手を導く

複数のアンケートは、“断片的”に使うのではなく、顧客との関係構築プロセスを描く「地図」として設計することで、より効果的な施策につながります。

たとえば、以下の図のように、カスタマージャーニーのステップごとに「何がボトルネックになっているか」を見極めれば、

⚠️ 認知度が低い → 情報源別の露出を増やす
⚠️ 入会障壁が大きい → 誤解や不安を払拭する訴求を強化
⚠️ 継続率が低い → 経験価値やエンゲージメントの改善

といったように、“次の一手”が明確になります。

①一般ベース…そのスポーツが好き→そのチームを知っている[チームの認知度を上げるには?]→そのスポーツの試合を見るのが好き→そのチームが好き[チームへの好意度を高めるには?]→チームの試合を観戦する→チームのファンクラブに入っている。②会員ベース・・・チームの試合を年1回以上観戦する→年〇回以上アクティブに観戦する[観戦回数を増やしてもらうには?]→チームについてSNSや口コミ発信する[チームについて口コミしてもらうには?]→ファンクラブ入会を友人・知人にすすめる。

以下は、カスタマージャーニーの各段階における主な課題と、代表的な施策の例を整理したものです。アンケートを通じて各ステップの現状を把握することで、優先度の高い施策を選定しやすくなります。

ステップ主な課題施策の例
① 認知チームやサービスの存在を知らないSNS広告や地域メディアなど、未認知層への露出拡大
② 好意形成知っているが、関心を持っていない好印象を持っている層の声を活用し、共感軸での訴求強化
③ 行動(利用・観戦)関心はあるが、実際の行動に移っていないお試し参加・体験キャンペーンなどの導線整備
④ 入会ファンだが入会に至っていない入会メリットの明確化、心理的・金銭的ハードルの軽減
⑤ 継続・深化満足度はあるが関係が浅い継続特典、コミュニティ形成、関与感を高める仕掛け
⑥ 推奨応援意欲はあるが発信していないSNS投稿促進、紹介特典、UGC活用

こうした構造的な整理とアンケート結果を結びつけることで、最も成果に結びつく改善ポイントが見えてきます。

「やみくもに聞いても成果が出なかった…」
「過去のアンケートが生かせていない気がする…」

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