マーケティングに強い外資系企業の調査でよく出てくる質問項目に「Relevance」があります。

「経験価値」ということが言われ出した頃からよく目にするようになったと記憶しています。

「Relevance」の意味を辞書で調べると「関連性」とありますが、マーケティングでの「Relevance」という言葉には、商品やサービスがもたらす機能的・情緒的な便益(ファンクショナルベネフィットとエモーショナルベネフィット)がどの程度自分とつながりがあるものなのか、という意味あいがあるものと思います。

感覚的には「これはまさに私のためにあるような商品だ」とか、「こういうサービスを待ち望んでいた」といった感じではないでしょうか。商品・サービスの細かなスペックレベルの話ではなく、その人の価値観や生活スタイル全般にかかわる中で「自分にふさわしい」かどうかというとらえ方だろうと思います。

消費者に「こういうのが欲しかった!」と思ってもらえるような商品やサービスを開発して提供していくには、消費者のライフスタイルを理解することが不可欠です。

ライフスタイル調査をおすすめする理由とは?

そこで効果的なのが、消費行動に関するライフスタイル調査です。

ライフスタイル調査では、消費者について、性別、年齢、居住地、職業、家族構成、所得などのデモグラフィック属性だけでなく、価値観や趣味嗜好、興味・関心分野といった心理的側面、あるいはメディア接触状況、所有しているブランドやIT機器などの利用実態を含む、消費ライフスタイルについての幅広い情報を収集します。

当社の場合、たとえば以下のような生活を取り巻く様々な分野の全体像を描いて、クライアント企業の商品・サービスにとって気になるところから一つひとつ具体的な行動や考え方をリストアップしていきます。

ライフスタイル分野のイメージ

ライフスタイル調査で集めたデータを普通に集計して眺めるだけでは、ターゲットについて知りたい価値観やライフスタイルが見えてくることはまずありません。

そのため、ライフスタイル調査では、他の調査にくらべて、特にじっくりと分析を深めていくこととなります。調査の企画をはじめて調査結果が出てくるまでに何カ月もかかることが珍しくありません。

時間がかかるということは、それだけ費用がかかることになりますので、おいそれとは手が出せない調査の一つかもしれません。

当社では、ライフスタイル調査を独立して実施することが難しい場合には、U&A(使用実態)調査などの機会に、以下のような項目からなるライフスタイル質問パートを盛り込むことで、ライフスタイル価値観情報を収集することをおすすめしています。

消費ライフスタイル質問項目(例)

○消費行動:ふだん買い物をするお店(実店舗、オンライン)、ふだんの買い物で利用する支払手段(現金、キャッシュレス)、支出金額、など

○情報通信行動:情報通信機器利用状況、SNS利用状況、情報源、など

○消費ライフスタイル・価値観:新商品・サービスの利用状況・意向、消費に関する価値観、興味・関心分野、など

また、1日を通じて消費者が利用する商品やサービスの場合には、さらに詳細に生活行動を知るための日記調査パートを盛り込むことを検討してもよいでしょう。

日記調査では、時間帯ごとの居場所や行動、さらには感情の詳細を記録してもらいます。

日記調査の結果を性・年代別などのセグメント別に見ることで、「誰が」「いつ」「どこで」「どのようなこと」を「どのような気持ち」でしているのか、生活行動・心理の実態を詳細に知ることができます。

<日記調査のアウトプット例>

日記調査のアウトプット例

ライフスタイル調査はいつする?

ライフスタイル調査を実施するとしたら、いつがよいか?と聞かれれば、「思い立った時に」が答えになります。

その理由は、ライフスタイルは2~3年程度で大きく変わるものではなく、一度実施すれば、4~5年は情報の鮮度を保つことができるため、実施時期にこだわる必要はそれほどないと考えるからです。

下の表は、当社で全国の15~69歳の男女を対象として、2011年2月と2012年3月に実施した2回のライフスタイル調査の結果を比較したものです。

ライフスタイル調査結果の例

いずれの調査においても合計309項目についての興味・関心度を回答してもらっています。

東日本大震災の前後で3ポイント以上の差があった項目は、全309項目中の11項目のみでした。

震災のプレ-ポストでの変化からは、「携帯電話」から「iPhone等のスマートフォン」へのシフトが進んでいる様子と、災害時の連絡手段として脚光を浴びた「Twitter」への関心が高まりつつある様子がみてとれます。

しかし、あれほどの大惨事を経験しながら、「防災・ホームセキュリティ」への関心度の高まりは3ポイント弱で、省エネ意識の高まりも同じく3ポイント弱となっています。

よほどのことがあっても・・・・、私たちの価値観は、短期間ではそう大きくは変化しないようです。

従って、消費者理解を深めることの必要性を感じた時に速やかに実施し、その後は4~5年ごと程度の頻度での実施を想定しておけばよいと考えています

なお、戦争やパンデミックなど、大震災を上回るような大きなインパクトを私たちの生活に与える出来事が起こった場合には、調査のサイクルをリセットする必要があるかもしれません。

ライフスタイル調査結果の活用

ライフスタイル調査を実施して得られた商品・サービスに対する関心度や価値観のデータを使って、消費者のセグメンテーション分析を行います。

たとえば、情報感度が高く、早い段階で自社の新商品をとりいれて、他の人に口コミしてくれる可能性が高そうな関与度の高いセグメントを見つけることができれば、そのセグメントをターゲットと定めてより詳しい理解を積み重ねることにより、効果的なマーケティング・コミュニケーション施策を検討していくことができます。

情報感度が高く、関与度の高いターゲットの特定

さらに、セグメンテーション分析を拡張して、ターゲットセグメントかどうかを見極める診断ツールを開発します。

新商品や広告キャンペーンの受容度などを知りたい場合、この診断ツールを活用することで、ターゲット層に的を絞った調査を効率的に実施することができるようになります。たとえば、それまでは出現率が10%であるターゲット層100人について詳しく調べるために1,000人を対象として調査を実施していたのが、診断ツールの導入・活用によって100人の調査で同じレベルの情報を得ることができるようになるわけです。

より小さなサンプルサイズでありながら、調査から”エッジの効いた”情報を収集することができるようになり、会社で実施する様々な調査のコスト・パフォーマンスを高めることが期待できます。

ライフスタイル調査の実施について詳しくお知りになりたい方は、「お問い合わせ」ボタンからお問い合わせください。


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