統計データの調べ方~宇都宮市 vs. 浜松市 ギョーザ購入額が多いのはどっち?

統計データの調べ方~宇都宮市 vs. 浜松市 ギョーザ購入額が多いのはどっち?

『ギョーザの2018年の世帯当たり購入額で、浜松市が2年ぶりに日本一を奪還したことが8日、総務省家計調査で分かった。浜松市は16年まで3年連続で購入額日本一だったが、17年は常に首位争いを繰り広げる宇都宮市がトップだった。
(中略)
18年の家計調査によると、全国の県庁所在地と政令指定都市の1世帯当たりの購入額は、浜松市が3,501円、宇都宮市が3,241円、宮崎市が3,106円、京都市が2,989円だった。』
(2019/2/8付 日本経済新聞 夕刊)

2月の初め頃に前年1~12月の家計調査データが公表されると、毎年恒例のように「宇都宮市 vs. 浜松市」どちらがギョーザの消費額が多いか、が話題となります。
ただ、報道されている数字を鵜呑みにせず、家計調査の元データを探して確認してみることも、統計リテラシーを高める一環になるかと思います。

そもそも、家計調査とはどのような調査でしょうか。
家計調査は、全国から約9,000世帯を選んで、毎日の買い物や料金支払い状況を細かく記録する家計簿調査などに協力してもらいます。

調査世帯の選び方は、

・まず全国から市町村(168市町村)を選ぶ
・次にその中から調査地区を選ぶ
・最後に調査地区から調査世帯(全国計で約9,000世帯)を選ぶ

という層化3段抽出法をとって、できるだけ日本の縮図に近い形になるようにしています。
とはいえ、抽出した世帯が必ずしも調査に協力してくれるとは限りません。
協力してくれるのは時間に余裕があって手間のかかる調査を厭わない世帯ばかりなのではないか、実際に協力世帯の世帯主の年齢分布はやや高めに偏っている、といった指摘もあり、調査内容の簡略化やオンライン調査の導入など回答負担の軽減による協力率の向上が試みられています。

さて、家計簿には支出項目を一つ一つ具体的に記入していくのですが、それぞれを集計の際に約550品目に分類していきます。これだけ細かく分かれているので、ピンポイントでギョーザ購入額の都市間比較も可能になるのですね。

では、家計調査データから宇都宮市と浜松市のギョーザ年間消費額を見つけてみましょう。

Web上で政府統計を探す場合、各省庁の統計データが集まった「政府統計の総合窓口(e-Stat)」を利用するのもよいですが、総務省所管の統計については総務省統計局のサイトの方が使い勝手がよいかと思います。

統計局の「家計調査」ページから「調査の結果」→「統計表一覧」と進むと、以下のページが出てきます。

総務省統計局の家計調査・統計表一覧の表示画面

今回探しているのは“2018年の宇都宮市と浜松市のギョーザ年間消費額”なので、「最新結果」の「2018年」データを探せばよさそうです。
さて、次のページに進むと、統計表の「詳細結果表(年)」は

・二人以上の世帯
・総世帯
・単身世帯

の3種類あります。

まずは、「二人以上の世帯」から見ていきましょうか。

家計調査(二人以上の世帯)のデータセットの表示画面

たくさんの種類のデータが表れましたが、今回は

<品目分類>1世帯当たり年間の支出金額,購入数量及び平均価格
「4-1. 都市階級・地方・都道府県庁所在市別」

が該当しそうですね。では、EXCELデータをダウンロードしましょう。

ファイルを開くと、品目分類が「米」「パン」・・・とズラッと並んでいます。
この中からギョーザを探してスクロールしていくと、調理食品のカテゴリーで「371. ぎょうざ」が見つかりました!
次に「二人・市別」のシートで、「札幌市」「青森市」・・・と見ていくと、

宇都宮市の「ぎょうざ」支出金額: 3,241円
浜松市の     〃     : 3,501円

であることが分かります。
どうやら報道はこの「二人以上の世帯」データを使っているようですね。
いかがでしたか?慣れないと、目的のデータに辿りつくまで結構大変だったのではないでしょうか?

ただ、今の日本では総世帯の3分の1以上は単身世帯ですし、二人以上の世帯も世帯人員は減少傾向にあります。こうした状況下で「二人以上の世帯」データを採用するのは適切なのでしょうか。
消費額でみると、二人以上世帯の消費支出は単身世帯の倍近くで、全世帯の消費額合計の約8割を占めており、二人以上の世帯の動向を見ておけば依然として全体の消費傾向を表していると考えてもよい、という意見もあるのですが、「総世帯」「単身世帯」のデータも存在するのであれば、やはり一通り確認しておくべきでしょう。

「単身世帯」はサンプル数が少なく都市別の集計はないのですが、「総世帯」の結果を見ると

宇都宮市の「ぎょうざ」支出金額: 2,919円
浜松市の     〃     : 2,893円

となっており、「二人以上の世帯」とは異なり、わずかながら宇都宮市の方が浜松市の消費額を上回っています。

2018年家計調査の二人以上世帯と総世帯で、宇都宮市と浜松市のぎょうざ購入額の比較グラフ

家計調査における「ぎょうざ」は、調理食品(冷凍は除く)に限られる点を考えても、宇都宮市と浜松市のどちらが多くギョーザを食べているか、家計調査データだけから判断するのは無理がありそうですね。