図書館の未来

皆さんはふだん図書館を利用されているでしょうか。
書籍・雑誌の販売額が年々減少する中、図書館の利用者数は近年増加しているそうです。
日本図書館協会の「日本の図書館」2015年調査によると、都道府県立図書館の来館者数は以下の通りとなっています。

都道府県立図書館の来館者数

岡山県は延べ人数だと一年間に県民の半数以上が県立図書館に行ったことになります。
図書館の規模や立地、他の文化施設の充実度など地域差がありますので一概に比較はできませんが、岡山県は来館者数だけでなく個人貸出し冊数でもダントツの144万冊で10年連続1位となっており、蔵書の品揃えや運営方法には参考にすべき点が多々あると思われます。

神奈川県には横浜と川崎の2ヶ所に県立図書館があり、川崎市には分館や閲覧所を含めると13の市立図書館があります。川崎の中央図書館的な役割を担うのは中原図書館で、こちらは2013年4月にリニューアルされ、武蔵小杉駅直結でアクセスもよく、平日は午後9時まで開いています。市内で初めて自動貸出機や自動書庫を導入したほか、予約本の受け取りをセルフサービスにするなど、利便性の高い新たな機能や設備を備えた図書館です。

最近では、神奈川県の海老名市立図書館が10月にリニューアルオープンして話題になりました。運営を手がけるのは、レンタルチェーンTSUTAYAを展開するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)と図書館流通センター(TRC)の民間企業2社です。

2003年の地方自治法改正により指定管理者制度が設けられ、図書館や公園、スポーツ施設など公共施設の管理・運営を民間事業者に委託できるようになりました。

図書館の民間運営についてはTRCが最大手ですが、紀伊国屋書店なども指定管理者となっており、既に全国で多くの導入実績があります。特に話題となったのは2013年にCCCが佐賀県・武雄市図書館の指定管理者となったケースでしょう。

武雄市図書館は1階にスターバックスコーヒーと蔦屋書店が入り、図書館利用証としてTカードを用いる(希望者のみ)等、従来の公立図書館では考えられなかった運営方法で、賛否両論ある中、「TSUTAYA図書館」として注目を集めました。オープン当初は来館者も急増し、図書館革命などともてはやされたりしましたが、最近では、購入図書の中に公立図書館としては不適切な内容の本が含まれていると指摘されたりして問題となりました。

また、CCCが事業に携わる予定だった愛知県・小牧市の図書館移転・新築計画が住民投票で否決されたり、海老名市立図書館でも市議会で選書問題が取り上げられ、「図書館に対する思想の違い」からTRCとの関係がギクシャクしているとの報道もあり、最近はTSUTAYA図書館への逆風が目立ちます。

公共図書館は、誰もが必要な知識や情報にアクセスできるだけでなく、貸出しや閲覧実績に関わらず貴重な文献・資料を保存管理したり、あるいは地域のコミュニティ拠点としての役割も大きいです。無償サービスが基本なので民間企業の経済原則と相入れない部分もあるでしょうし、税金が投入されている以上、図書館運営には公正な監査が必要ですが、インターネットが普及し書籍のデジタル化が進む中で今後の図書館の在り方を探る上では従来の図書館像にとらわれず様々な試みがあってよいのではないでしょうか。

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