「ふつう」が示す“見えないリスク”とは
顧客満足度調査を実施して、「ふつう」と答えた人が多かった・・・⁉️
そんな時、どのように解釈すべきでしょうか?
一見「悪くはない」と思えるかもしれませんが、実はこの「ふつう」が、ビジネスにとって大きなリスクとなる場合があります。
本コラムでは、「ふつう」の落とし穴と、それを乗り越えて顧客ロイヤルティを高めるための実践的な調査手法について、日本市場に最適化した視点から解説します。
本コラムは、「成果を引き出す!顧客満足度調査・実践ノウハウシリーズ」(全4回)の一編です。他のコラムもあわせてぜひご覧ください。
【同シリーズのコラム】
※ 顧客満足度調査の全体像を知りたい方は「顧客満足度調査(CS調査)の完全ガイド|基礎から活用まで徹底解説」もあわせてどうぞ。
「ふつう」は満足ではない─その評価の本当の意味
顧客満足度調査でよく使われる5段階評価(非常に満足~非常に不満)の中で、「ふつう」という回答は、決して満足とは言えません。
【顧客満足度調査でよく使用される5段階評価】
問. ○○についてあなたはどのように思いますか。(1つだけ)
- 非常に満足
- 満足
- ふつう
- 不満
- 非常に不満
自由回答を見てみると、「特に不満はない」「まあ普通」といった内容が多く、強い支持や再利用・推奨の意志が読み取れないことがほとんどです。
こうした顧客は、他社の魅力的な提案があれば、容易に離れてしまう可能性があり、実は非常に脆弱な層なのです。
日本市場で成果を上げるために必要な視点
顧客満足度調査は米国発祥ですが、日本人の回答傾向とは異なる部分があります。そのため、日本市場では設問設計や評価尺度の工夫が重要です。
中間評価の多さにどう対応するか
日本では「どちらともいえない」「ふつう」といった中立的な回答が多く、明確な傾向が見えづらくなります。

対策として、中立項目を排除した設計や、表現の工夫(極端な表現を避けるなど)が効果的です。
【設計・表現の工夫例】
- 中立的な選択肢を排除する
日本人は中間回答傾向が強いため、中立的な選択肢を排除することでより明確な意見を引き出すようにします。 - 選択肢の両極に極端な表現を避ける
選択肢の両極には極端な表現を避け、より穏やかな言葉を使用します。 - 日本流にNPSの定義を調整する
品質管理の考え方・手法や野球など、日本流にアレンジすることで目覚ましい発展を遂げたものがたくさんあります。NPSについても、日本人の回答傾向に合わせて、定義を調整します。
NPS(推奨意向スコア)の日本的アレンジ
NPSを導入している場合も、ひと工夫が必要です。
NPSでは10点満点のうち6点以下が「批判者」とされますが、日本人の慎重な評価傾向を踏まえると、この定義は実態とズレが生じやすいのです。
日本では「8~10点」を推奨者、「5~7点」を中立者、と定義するなど、独自の基準設定が成果につながります。
【日本人の回答傾向にあわせたNPSの定義例】

ロイヤルティを高めるための3ステップ分析
顧客満足度を「ロイヤルティ(継続・推奨)」につなげるには、以下の3つの分析ステップが重要です。
ステップ1:不満の原因を明確にする
まず、満足度の低い層に対して、どの接点や要素に不満を抱えているのかをクロス集計で探ります。また、自由回答を定性分類し、潜在的なリスク領域を特定します。
ステップ2:満足の要因を特定する
次に、満足度を高めている要素(キードライバー)を分析します。これにより、強化すべきポイントが明確になります。
ステップ3:「満足」から「非常に満足」へ引き上げる
さらに、「可もなく不可もなし」ではなく、顧客が「また利用したい」と思うレベルへ引き上げるための体験設計が不可欠です。
クロス集計やキードライバー分析など、顧客満足度調査の分析方法について、以下のコラムで詳しく解説しています。
▶ 顧客満足度調査(CS調査)の完全ガイド|基礎から活用まで徹底解説
成果を出すために─設計と分析の最適化を
調査を実施するだけでは、意味がありません。
- 評価尺度の設計
- 日本市場への最適化
- キードライバー分析
- ロイヤルティ指標との連動分析
こうした一連のステップを踏むことで、調査結果は経営判断や改善施策につながる“使えるデータ”になります。
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グルーブワークスでは、日本市場に最適化した調査票設計から、クロス集計・ドライバー分析・報告書作成まで、ワンストップでご支援しています。
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