新商品の開発や既存商品のリニューアルに際しては、コンセプトの作り込みから、仕様やデザイン、ネーミング、パッケージ、価格、プロモーション展開など、市場投入に至るまで意思決定の連続となります。
商品開発プロセスの各段階で市場調査を行い、顧客目線のチェックを組み込むことにより、開発者の思い入れ、あるいは勘や経験のみに頼らない、冷静で客観的な判断が可能となります。

商品開発プロセスと市場調査

商品開発においては各ステップを一歩一歩着実に進めていくことが極めて重要です。たとえば、市場投入に向けたマーケティング策定段階になって仕様の見直しが必要になる、といった非効率が生じないよう、開発プロセス進行の意思決定は慎重に行う必要があります。

顧客目線を意識した商品・サービスの開発プロセス

市場調査/マーケティングリサーチで潜在ニーズを把握して、魅力ある商品コンセプトを開発し、「欲しい」商品に仕上げる、商品開発プロセスの後ろから、

  • 商品の発売前の魅力度の特定:コンセプト(&プロダクト)調査
  • 有望なアイデアの絞り込み:アイデア・スクリーニング調査
  • 有望市場・ターゲット顧客の発見:U&A/消費者ニーズ探索調査

の順に、具体的なリサーチ方法と「いくらくらいかかるか」だいたいの費用感をご説明します。

コンセプト(&プロダクト)調査

想定するターゲット層の人たちに、最終的な商品コンセプトを見てもらったり、試作品を実際に使用してもらったりして、商品について評価してもらう調査です。

商品について、以下の3種類の情報を得ることを目的として実施します。

  • 商品はどの程度魅力的か
  • 価格はいくらくらいがよいか
  • どのくらいの人が買いそうか

コンセプト(&プロダクト)調査を実施するうえで、できるだけお金と時間をかけずに必要な量の質の高い情報を手に入れるためのポイントが4つあります。

ポイントその①:ターゲットの絞り込み

精度の高い=使える情報を得るには、調査対象者中のターゲット層の出現率を高めることが必要です。

20代・30代の働く女性を主なターゲットと想定した商品であれば、スクリーニング調査で、年代、性別、職業といった属性で対象者を絞り込んでいきますが、これだけでは不十分です。
他の人よりも先に商品の魅力に気づいて取り入れてくれ、気に入れば口コミしてくるような「商品関与度の高いアーリーアダプター」を見つけることが必要です。

「商品関与度の高いアーリーアダプター」を見つけて調査を実施

「商品関与度の高いアーリーアダプター」を狙い撃ちした調査であれば、n=100サンプルでも十分です。
ターゲットの絞り込みが難しい場合には、n=1,000サンプルなど、広く多めに取っておくこととなります。

ポイントその②:定量 x 定性の相乗効果

調査の基本的なフローは以下のようなものになります。

基本的な調査フロー

商品コンセプトの評価に続けて、「商品のどのような特徴を、どのように感じたのか」を具体的に記述してもらいます。

この自由回答が極めて重要な情報となります。
たとえば、調査の結果「商品の魅力度は30%」という数値=定量情報に、「なぜそのような評価になったのか」についての自由回答=定性情報が加わることで、定量 x 定性の相乗効果を得ることができます。

調査の結果が期待を下回るものであった場合には、より魅力的な商品にするためにどのようなことが必要なのか、評価理由が改善ポイントを探る手掛かりになります。
また、顧客の言葉で語られる評価ポイントを理解することにより、共感を得て受け入れられる商品コンセプトへと改良していくことができます。

定性情報が加わることにより、n=100の調査が、n=1×100の調査となりますので、より多くのことを、より詳しく知ることができます。

ポイントその③:最適価格帯

価格に関する質問を直接的に行うと、対象者が必要以上に価格を意識してしまうなどの理由から、うまくいかないことが多いようです。

そこで、PSM(Price Sensitivity MeterもしくはPrice Sensitivity Measurement)を調査に組み込みます。
PSM(価格感度測定法)は、商品やサービスに対する消費者の価格意識を、「安さの限界」「高さの限界」「最適価格」といったわかりやすい指標で捉えることができる手法です。

PSMの回答データから、ターゲットに受け入れられる最適価格や受容価格帯を特定します。

PSM(価格感度測定法)の分析結果グラフ

ポイントその④:購入意向

購入意向は最も重要な指標の一つで、購入意向の強さから、実際どの程度の人が買ってくれるのかを判断することができます。

実際に購入してくれる人は、「ぜひ購入したい」人の8割くらいで、「たぶん購入すると思う」人の2割くらいという経験則(rule of thumb)があります。
調査の知見を積み重ねる中で、自社ならではの経験則の精度を高めていきます。

調査結果から購入意向レベルを判断する経験則

購入したいとは思わない=非購入意向もまた、極めて重要な情報です。
一人ひとりの「なぜ買いたいと思わないのか」についての自由回答から、購入のハードルを見つけていきます。
失敗の道を避けて通ることが成功への道。ネガティブ・チェックは調査の重要な機能の一つです。

気になる費用感

ターゲットの絞り込みができていれば、そうでない場合に比べてはるかに少ないサンプルで精度の高い調査を行うことができます。
小規模なものであれば、30万円~60万円程度で、短期間に実施することができます。
小規模とはいえ、的を絞った無駄のない「少数精鋭」の調査です。

ここまでご紹介したコンセプト調査について、具体的な調査の企画を検討されたい方は、こちらからご連絡ください。お問い合わせ >

アイデア・スクリーニング調査

商品のコンセプトが「まだそこまで固まっていない」「いくつか候補があってこれから絞り込むところ」といった段階での調査です。
コンセプト調査を「決勝戦」とすると、アイデア・スクリーニング調査は「予選」あるいは「練習試合」です。

弊社では、予選用のミニマム版として、n=100人に対してわずか4問のコンパクトで手軽に実施できる機動性の高いアンケート調査をご提案しています。
調査の基本構成は以下の通りです。

アイデア・スクリーニング調査の基本的な構成

4問の中にも自由回答を組み込んでいますので、n=1×100の調査にもなり、消費者目線で有望なアイデアの絞り込みを行うことに加えて、アイデアの持つ魅力を具体的なコンセプトの形に展開していくためのヒントとなる情報を得ることができます。

また、Q1を複数アイデアから最も魅力的なものを一つ選ぶ「アイデア選好」質問に、Q2を「選好理由」質問にすることで、最大10個くらいのアイデアの選好度情報を1回の調査で聞いてしまうことも可能です。

n=100人のミニマム版は、8万円~10万円程度、最短2~3日間で実施することができます。

機密性の高い新商品についての情報はできるだけ社内にとどめておきたいものです。
そこで、練習試合として社内対象に同様のアンケート調査を実施することもできます。

U&A/消費者ニーズ探索調査

新商品が狙う商品カテゴリーの市場規模とターゲットの絞り込みをするとともに、開発者が商品のアイデアを考える際のヒントとなるような潜在ニーズについての情報を消費者から引き出す調査です。

消費者の潜在ニーズを探るための調査手法といえば、グループインタビューなどの定性的なアプローチを思い浮かべる方が多いものと思います。

しかし、消費者自身が気づいていないインサイトを探り出すためには、経験豊富なインタビュアーや洞察力にすぐれた分析者の存在が必要となり、調査費用は極めて高額になりがちで、多くの企業が気軽に活用できる手法ではありません。

そこで、弊社ではモニターパネルを利用したインターネット調査でのU&A(商品やサービスの使用実態調査)をベースとして、消費者ニーズを定性・定量の両面で捉えていく、以下のようなアプローチをご提案しています。

1.まずは市場を分類して「売れる」顧客セグメントを見つけて、
2.ターゲットとする層が、現状抱えている不満・問題点やニーズを探り出し、
3.具体的な顧客像を明らかにしていきながら、
4.顧客セグメントに受け入れられる商品の魅力要素についての仮説を積み上げ、
5.具体的な商品コンセプトの形に展開していく。

市場全体を俯瞰するところから始める大掛かりな調査ですが、インターネット調査の普及によって、以前に比べると、はるかに少ない費用で実施できるようになりました。
商品カテゴリー市場の規模やカバレッジ、必要なサンプルサイズや分析の深度などによって幅がありますが、無駄や無理のない調査設計のもと、100万円~300万円程度で実施することができます。

顧客目線のチェックを取り入れ、成功確率を上げる商品開発調査

マーケティングに強い大手(特に外資)では、商品開発の初期段階から、「欲しい」「買いたい」と思う理由を深堀して、それを消費者の心にうまく響くように伝えることができているかを厳しくチェックしています。

弊社のリサーチサービスのページでは、顧客目線のチェックを組み込み、開発者の思い入れ、あるいは勘や経験のみに頼らない商品開発プロセスを3つの段階に分け、それぞれについてまずは大手が実施している調査の基本形を説明した後で、調査になじみのない企業様にも導入できるアプローチを紹介していますので、是非ご覧ください。


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