デジタル情報だけでは顧客理解に不十分な理由

デジタル情報だけでは顧客理解に不十分な理由

最近はTwitterの書き込みなどのビッグデータを分析してマーケティングの意思決定に活用する企業が増えているようです。
しかし、デジタル一辺倒では危ないという指摘もあります。

SNSの利用状況

まずは、SNSの利用状況をみてみましょう。
総務省が毎年実施している通信利用動向調査でSNSの利用率をトラッキングしています。
最新の公表データは以下のようになっています。

年代別SNS利用率

(出典)総務省「通信利用動向調査」

調査を実施した2019年12月の時点で国民の約7割がSNSを利用しているという結果です。
では、このうちのどれだけの人が自ら投稿しているか、いろんな調査結果を調べてみると、その割合は1割程度のようです。

同じく総務省が公表しているデータに、ソーシャルメディアによる情報発信状況について日本とアメリカでの調査結果をまとめたものがありました。

ソーシャルメディアによる情報発信の状況(日本)
ソーシャルメディアによる情報発信の状況(アメリカ)

(出典)総務省「ICTによるインクルージョンの実現に関する調査研究」(2018)

アメリカに比べると、SNSに投稿している人の割合が大幅に少ない結果となっています。
つまり、日本の場合、SNSの情報をウォッチするだけでは消費者のごく一部しか見ていないことになる恐れがあります。

また、批判的な考えを持つ人の方が投稿しやすい傾向があるのではないかとみています。

批判的な人ほど声が大きい?

調査では、評価理由を自由回答形式で記入してもらうことがよくあります。
たとえば、現状のサービスを変えたほうがよいかどうかについて「1.今のままでよい」「2.変えた方がよい」の割合が70%:30%であるにもかかわらず、自由回答の内容をみると「変えた方がよい」と思う理由がたくさん挙げられているということが往々にしてあります。

「今のままでよい」と思っている人は、特に不満がないために自由回答を記入する割合が少ないのに対して、「変えた方がよい」と思う人は、その理由を熱心に記述してくれる傾向があるために、そういった状況が起こります。

さらに、批判的な考えを持つ人のコメントほど文字数が多い傾向があります。
以下はNPSの評価レベル別に評価理由を記述してもらった文字数の平均です。

NPS区分別評価理由の記述文字数

一見違いがないように見えますが、これを0~10点の評価点数別にみてみると、批判者の中でも0~2点の特に低い評価を付けた人は、たくさんの文字数を使って理由を述べています。つまり、批判的な人ほど声が大きい傾向があるようです。

評価点数別評価理由の記述文字数

ごく一部の大きな声が消費者の大多数に影響を及ぼしている可能性もがありますので、SNSで発信される情報にアンテナをはっておく必要があることに異論はありません。

しかし、SNSの情報だけに気を取られていると、誤った消費者理解をしてしまうおそれがあります。

まずは消費者調査などで全体像を的確に把握したうえで、部分ごと、あるいは一人ひとりに焦点を絞り込んで深く見ていくのがよいですね。