自社の強みを明らかにするBtoBの顧客満足度調査

自社の強みを明らかにするBtoBの顧客満足度調査

NHKの報道によると、東京都中小企業家同友会が都内の中小企業を対象として実施した緊急事態宣言に伴う影響についてのアンケートで、回答企業の約3割が新たな業態やサービスへの進出を検討していることが分かったそうです。

新規参入先の検討に際しては、自社の強みを活かせる分野であることが条件となることでしょう。

自分では強みと思っていたことが実はそうでもなかったり、他の人から教えてもらってはじめて気づく強みがあったり、自らを客観的に評価することは難しいものです。

他人が認める自社の強みを知るためには、顧客企業による満足度調査の実施が有効です。

BtoBの顧客満足度調査も、BtoCの顧客満足度調査も、究極の目的はお客様に満足してもらい、長く使い続けてもらうという顧客ロイヤリティの強化です。 顧客接点の改善を通じてロイヤリティを高めていくという構造は同じですが、BtoBならではの調査項目もあります。

BtoBマーケティングとBtoCマーケティングの違い

まずはBtoBマーケティングとBtoCマーケティングの違いを見てみましょう。
栗原康太『事例で学ぶBtoBマーケティングの戦略と実践』(株式会社すばる舎、2020)にわかりやすくまとめて紹介されています。

 BtoCBtoB
購買関与者の数1人複数かつ多層
利用者多くの場合、購買者と同じ購買者と同じとは限らない
購買目的所有、体験、もしくは課題解決課題解決
検討期間短期間長期間
購買の際に重視される点ブランドや付加価値も影響機能や実績など
情報の非対称性小さい大きい
購入チャネル販売員やECサイト営業パーソン

出典:栗原康太『事例で学ぶBtoBマーケティングの戦略と実践』(株式会社すばる舎、2020)から一部抜粋

BtoBの顧客満足度調査の設計

これらの違いは顧客満足度調査の設計にも影響を及ぼすこととなります。
順に見ていきましょう。

顧客ロイヤリティの定義

BtoCの顧客満足度調査では推薦意向、継続利用意向が代表的な顧客のロイヤリティ度合いを測定する指標です。
BtoBの顧客満足度調査でも、継続利用意向を聞くのはよいとして、推薦意向については要検討です。

【BtoBの推薦意向質問の例】
問.     もし、仕事関係の同僚や取引先のお知り合いから、「〇〇〇(製品・サービス名が入ります)にはどの会社がよいか」とたずねられた場合、△△△(自社の会社名が入ります)をおすすめする度合いはどの程度ですか。

先ほどご紹介したBtoBとBtoCのマーケティングの違いについて整理した表に「情報の非対称性」という項目があります。これは経済学の用語で、商品に関する情報について、売り手と買い手の間に情報格差がある状態のことを表しています。

BtoCの場合、インターネット上の口コミやレビュー記事などで、購入したい商品についてある程度の情報を得ることができるのに対して、BtoB商材については、口コミやレビューサイトは少なく、購入企業は情報量が少ない中で意思決定をしている、すなわち、取引における「情報の非対称性が大きい」と指摘されています。 ふつうに他社の人から、「どこかいい会社ある?」と紹介を依頼されることがよくある商材(もしあれば)を除いて、BtoBの推薦意向は実感を伴わない「なんとなく評価」になりかねません。

対象者の定義

BtoBの場合は、顧客企業の担当者と意思決定者、そして実際に利用してくれるエンドユーザーが異なるケースが少なくありません。「会社」単位での調査となる場合には、回答してくれた人の属性を確認する質問を盛り込んでおくことが必須です。 当社でご紹介している調査票テンプレートでは、以下のような聞き方をしています。

問.     貴社での〇〇〇(製品・サービス名が入ります)のご利用に際して、あなたが担当されていることがありましたら、すべて教えてください。(いくつでも)

  1. 納入業者を決定している
  2. 業者の選定にかかわっている
  3. 業者との日常的なコンタクトをとっている
  4. 業者からの請求書の処理などの財務的な部分を担当している
  5. ○○○を利用する社員からの問い合わせなどの連絡を受けている
  6. ○○○を利用している
  7. どれもない
  8. わからない

評価対象とする接点

BtoBマーケティングの特徴である「営業パーソン」をはじめとした顧客接点をあぶりだして、評価質問として盛り込んでいきます。

ここでもう一度「情報の非対称性の大きさ」に注目すると、「情報提供」の面で好意的な評価を得ることができれば、BtoBマーケティングにおいて競争優位なポジションを築くことができるかもしれません。
自社の運用状況に合わせて、自社サイト、メルマガなどでの製品情報や活用事例の紹介といったデジタルマーケティングの活動内容を評価項目に盛り込むのもよいでしょう。

BtoBの顧客満足度調査から強み/弱みを特定する方法

自社の強みと弱みは、満足度と重要度の組み合わせから見つけることができます。

満足度は「営業パーソン」「情報提供」「価格」「納期」などの接点の評価です。
一方、重要度は接点の評価がどれだけ顧客のロイヤリティに効いているのかを表したインパクト度合いで、重回帰分析や構造方程式モデリングによって求めます。

さらにもう1種類、競合他社についての評価情報が必要になります。
重要度が高い接点で、自社の評価が競合他社よりも有意に高ければ、その接点は間違いなく自社の強みと考えることができます。

戦略的改善マトリックス

競合他社については、以前のコラム(顧客満足度(CS)調査を上手に活用していく7つのポイント~成長する会社の調査活用方法)で以下の3種類の定義をご紹介しています。

競合の種類定義(自社以外で・・・)
主要競合お客さまが最もよく利用している会社
ベスト競合お客さまが業界トップと認識している会社
人気競合お客さまが最も利用したいと思う会社

比較対象とする競合他社のリストアップが難しいなどの場合には、より比較のハードルが高くなってしまいますが、以下のような「理想競合」方式もあります。

問.     貴社にとって理想的な取引先企業の条件を思い浮かべてください。理想的な会社に比べた場合、△△△(自社の会社名が入ります)について、どの程度満足していますか。

BtoBの顧客満足度調査では、過去の調査結果との比較に加えて、競合との比較の視点を持つことが非常に重要です。

その他、BtoB調査ならではの工夫ポイントを挙げておきます。

郵送/Webの併用

BtoB調査では、回答の記録を残したいという会社が少なからず出てきます。
その点、郵送調査であれば、手元にコピーを残すことができます。
Webのみで実施する場合は、アンケートサイトから下書き用のPDFをダウンロードできるようにしたり、希望に応じて回答画面の控えを入手できるようにしたり、配慮しておくことが望ましいです。

不満足回答への対応

BtoBの顧客満足度調査も基本は誰が回答したのかわからない無記名方式で実施します。
中には自由回答のところで改善対応してほしい不満足を伝えてくれる顧客もいますので、調査で寄せられた意見に対して営業パーソンによる個別対応を望む場合には、回答者の連絡先情報を記入してもらうようにしておくとよいでしょう。
まさに調査はコミュニケーションですね。

BtoBに限らず、顧客満足度調査の上手な活用方法について、以下のページで詳しくご紹介していますので、よろしければ是非ご覧になってみてください。