患者に愛され、頼りにされる病院であり続けるための満足度調査

患者に愛され、頼りにされる病院であり続けるための満足度調査

病院経営を取り巻く環境は年々厳しさを増し、病院間の競争も激しくなる中、患者満足度に対する注目が高まっています。

患者に愛されて、頼りにされる病院であり続けるために、改善の優先順位を付けて、貴重な経営資源を適切に配分して取り組みを進めることが求められています。

常日頃、患者と接する中での気づきから、満足度向上の取り組み課題が見えてくればよいのですが、病院の規模によっては、幅広い患者の声をすくい上げたうえで、優先度を調整していく必要があります。

その際、的確に優先課題を特定し、改善の成果を客観的に数字で見えるようにするために最適な方法が患者満足度調査の実施です。

全国調査から見えてくること~「受療行動調査」結果から

全国での調査結果から患者満足度の仕組みをみていきましょう。

厚生労働省では、3年に1度、全国の病院を対象に、患者が受けた医療に対する満足度等を調査する「受療行動調査」を実施しています。直近の平成29年度では、490病院の外来・入院患者あわせて14万5,700人が回答しました。

調査は、外来・入院とも病院で調査票を配布して患者(または家族)に記入してもらう方式で実施しています。

患者満足度の調査結果は以下の通です。

外来患者の満足度

平成29年度「受療行動調査」の患者満足度<外来>

入院患者の満足度

平成29年度「受療行動調査」の患者満足度<入院>

両者を比べると

●全体満足度をはじめ共通項目では、外来患者よりも入院患者の満足度の方が高い

●外来・入院とも、医師など病院スタッフに関する項目の満足度は高く、全体満足度とほぼ同レベル

●外来では「待ち時間」、入院では「食事」の満足度が、他の項目に比べて大幅に低い

といった傾向が見受けられます。

当社で実施している病院満足度調査の結果も、質問項目の表現や選択肢の違いなどはあるにせよ、概ね上記と同様の傾向です。

病院内の滞在時間や職員との距離感という点で、外来患者より入院患者の方が心情的に好意的な評価になりがちのようです。

また、外来の「待ち時間」や入院の「食事」など満足度の低い項目があるものの、全体満足度にはそれほど大きな影響はなく、病院スタッフに対する高評価が全体満足度を支えているように見受けられます。

もちろん、待ち時間や食事に関して低評価のまま放置してよいはずはなく、予約システムや順番表示の案内方法、メニュー・味付けや配膳方法の検討などの改善努力が必要でしょう。

ただ、待ち時間対策には物理的な限界がありますし、実際の待ち時間が短くなっても、過去に長時間待たされた経験があるとなかなか評価の向上には結び付かないことが多いようです。

また、入院中の食事に関しては、治療上の制限もあったりしますし、一人ひとりの味の好みに合わせて全員が満足するような食事を提供するのは難しそうです。

一方、病院スタッフによる接遇に関しては、待ち時間や食事のような制約はなく、素晴らしい患者対応をすればすぐに高評価に結び付き、逆に1人でも(1回でも)ひどい経験をすれば満足度は急低下しかねません。

全体満足度の維持・向上を図るうえでは、病院スタッフの高評価を維持することが最も重要と考えられます。

さらに、待ち時間や食事の評価改善という点においても病院スタッフによる接遇向上は重要な要素です。

例えば、医師や看護師など病院スタッフが素晴らしい医療サービスを提供すれば、“待つに値する病院”ということで待ち時間への不満を減らせるかもしれませんし、配膳スタッフの態度や栄養士への相談・アドバイスなどが食事の評価によい影響を及ぼすこともあるでしょう。

「受療行動調査」については元データがありませんが、患者満足度調査を実施すると、以下のようなCSポートフォリオ分析によって改善課題を優先度別に分類することができます。

患者満足度調査のCSポートフォリオ例

CSポートフォリオ分析で使う重要度については、各項目について「非常に重要」~「まったく重要ではない」の5段階評価などで直接重要度を質問する、あるいは全体満足度と各項目評価との相関係数や重回帰係数を分析して用いる方法があります。なお、相関係数については、似通った項目が含まれていると重要度が正しく示されない場合がありますので、留意が必要です。

診療科目、病床数、飲食や売店などの施設、交通アクセスなど、自院の強みや弱みとなりそうな評価項目を上手に調査票に盛り込むことができれば、CSポートフォリオ分析は極めて有効なアウトプットになります。

患者満足度を左右する病院スタッフの満足度

患者満足度の維持・向上のためには、病院スタッフに対して患者への接遇改善を求めるだけでなく、職場の満足度向上にも目を配る必要があります。

いきいき働く医療機関サポートWeb(いきサポ)が平成29年に厚生労働省の委託事業として実施した医療機関アンケート調査によると、医師および看護師の病院に対する満足度は以下の通りです。

医師・看護師による勤務環境の満足度

医師および看護師による勤務環境の満足度

こちらは4段階評価で、「満足」と「どちらかというと満足」を足して<職場満足度>としてみると、医師に比べて看護師の職場満足度が低くなっています。

患者の満足度を向上するためには医師や看護師など病院スタッフに対する高評価が不可欠ですが、そのためには職員が抱えている課題は何かを浮き彫りにしたり、患者ケアに一層注力するための提案などを吸い上げたりして、働きやすくて働き甲斐のある職場環境を実現していく必要があります。

患者満足度調査にあわせて、病院スタッフを対象にした従業員満足度調査の実施が非常に有効です。

調査結果の公表が調査の意義・メリットを高める

患者満足度調査と従業員満足度調査ともに、調査を実施したら速やかに調査結果と対応方針を公表することがとても重要です。

何らフィードバックのない一方的な調査実施では、かえって患者、職員の不満を助長してしまいかねません。

また、何カ月もたった忘れたころに結果を知らされても、取り組みの本気度や熱意は伝わりません。

自分たちの調査協力が遅滞なく病院の運営に反映されると実感されることにより、調査が患者、職員との双方向のコミュニケーションになります。

コミュニケーション面での効果についてさらに挙げれば、患者満足度調査の結果公表は、客観的な病院の評価基準として広く受け入れられるでしょうし、自由コメントも掲載すれば口コミとしての効果も期待できます。また、病院スタッフにとっても患者満足度を把握できることはモチベーション向上につながるでしょう。

患者満足度調査と従業員満足度調査を車の両輪として2本立てで活用し、地域に愛される病院として医師や看護師に対する患者の満足度や信頼が高まり協力的になってくれば、治療そのものや患者ケアにもよい効果が表れ、患者の満足が職員の職場満足につながり、職員間の連携も強まる好循環を期待できることでしょう。

作業は外部に任せて、院内は改善策の検討・策定・実行に注力

効果的な調査を実施するためには、よくある定型的なパッケージ調査ではなく、診療科目、病床数、立地条件など、自院の事情を考慮して調査手法や質問項目をカスタマイズする必要があります。

ただ、それでなくても多忙な病院スタッフの時間を割いて、一から調査設計を行い、面倒な集計・分析業務を行うのは容易なことではありません。

また、病院での調査は、患者に高齢者が多いことなどもあって従来は紙のアンケート用紙で実施することが多かったのですが、衛生面への配慮からも今後は待合室にタブレット端末を置いてタッチペンで記入してもらう方式や、患者のスマートフォンやパソコンからWeb回答してもらう方式を導入していく必要もありそうです。

調査のデジタル化についても、画面作成などをすべて院内で行うのは大変な作業です。

さらに、今後オンライン診療の普及が進むと、受診のハードルが下がることにより、病状や多忙などの理由でこれまで来院が難しかった人たちにも患者層が広がっていくことが想定されます。

そこでは、対面診療と同等の医療の質を提供するために新たな課題もいろいろ出てくるでしょうし、その改善策を探るためには従来とは異なる調査方法が求められるでしょう。

適切な調査設計やデジタル化対応、スピーディーな集計・分析のためには、外部の満足度調査専門機関を活用し、院内は改善策の検討・策定・実行に注力するのが有効です。

定型パッケージではなく自院の事情にあわせてカスタマイズして、積極的に病院満足度調査を活用したい方は、当社までお問い合わせください。