令和最初の「今年の漢字」を予想する

令和最初の「今年の漢字」を予想する

まもなく、年末恒例の「今年の漢字」の応募がはじまります。令和最初の年となった2019年の世相を表現する漢字として最も応募が多かった一字が、12月12日(木)に清水寺で発表されます。

私は2014年以降、毎年「今年の漢字」を予想していますが、これまでの戦績は2勝3敗と負け越しています。

去5年間の「今年の漢字」予想結果

戦績をイーブンに戻すべく、今年は勝ちに行きます。
長くなりますが、お付き合いください。

まずは、今年印象に残った出来事をリストアップしてみましょう。

【2019年の主な出来事】

・日韓関係悪化(徴用工裁判、レーダー照射事件、ホワイト国除外問題、など)
・テニスの大坂なおみ選手、全豪テニス初制覇
・競泳の池江選手、白血病を公表
・野球のイチロー選手、引退
・日産自動車の一連の問題(元会長のゴーン被告保釈、など)
・平成の時代が終わる
・令和の時代はじまる
・ノートルダム大聖堂大火災
・大津市で、園児の列に車が突っ込む
・川崎市で小学生ら19人が刺される
・アメリカのトランプ大統領が国賓として来日
・G20大阪サミット開催
・香港大規模デモ
・陸上のサニブラウン・アブデル・ハキーム選手、100メートルで9秒97の日本記録
・バスケットボールの八村塁選手、NBAドラフト1巡目指名
・京都アニメーション放火殺人事件
・かんぽ生命による不適切販売発覚
・南米アマゾンの森林火災が深刻な問題となる
・女子ゴルフの渋野日向子選手、全英女子オープン優勝
・表現の不自由展、一時中止になる
・小泉進次郎氏と滝川クリステルさん結婚
・あとをたたない悪質なあおり運転事件
・九州北部豪雨
・台風15号で、千葉県内に甚大な被害発生
・ラグビーワールドカップでの日本代表の大活躍
・消費税が10%に、キャッシュレス還元はじまる
・神戸小学校教員イジメ事件
・吉野彰氏ノーベル化学賞受賞
・台風19号が東日本に甚大な被害をもたらす

今年もまた、大きな自然災害に見舞われましたね。

その一方で、スポーツ選手、特に、多国籍・多民族的な選手たちがONE TEAMとしてまとまったラグビーの日本代表や、大坂なおみ選手、八村塁選手、サニブラウン・アブデル・ハキーム選手など、海外にもルーツを持つ選手たちの活躍にたくさんの勇気をもらい、「多様性」という言葉をより身近なものとして実感した年でもありました。

こうして今年の出来事を振り返ってみると、「災」「多」も有力な候補となりそうです。
そして、なんといっても新元号の「令」「和」は圧倒的な存在感を持っています。
さらに、消費「税」も重くのしかかってきています。

ここからは、「今年の漢字」についてのデータを分析しながら、「今年の漢字」候補を絞り込んでいきたいと思います。

1. 応募状況についての分析

「今年の漢字」の応募方法には、「インターネット」「はがき」、書店等に設定している「応募箱」から応募する個人での応募と、学校や塾、企業等でまとめて応募する「団体応募」があります。

以下は、応募方法別のデータが公表されている1999年以降の応募数の推移をグラフにしたものです。

ここ数年は15万票程度で推移していたのが、昨年は20万票近くに増えました。

応募方法別応募数の推移グラフ

※「インターネットについては、2001年と2004年〜2008年は「Eメール」での応募数です。

同じデータを応募方法別の構成比にしてみると、以下の通り、過去2年間では「応募箱」と「団体応募」が5割弱ずつとなっています。

昨年の予想に際して、「漢字検定受験者の6~7割程度が、団体受験が多い小中学生というデータとも重ね合わせると、応募者のかなりの割合を小中学生が占めている?」との解釈を示しましたが、この解釈はまだ生きているようです。

応募方法別応募割合の推移グラフ

2. 得票率についての分析

続いて応募数上位20字の得票率の推移です。

一年を代表する「今年の漢字」といっても、得票率が4~5%程度のものが多い中で、昨年の「災」は、久しぶりに得票率が10%を超えました。

上位20字の得票率の推移グラフ

昨年の応募数上位20字を詳しくみると、「今年の漢字」に選ばれた「災」の他にも、「震」「台」「風」など災害に関連する「災害系」漢字群があります。
また、惜しくも第2位の「平」に加えて、「成」「終」などの改元に関連する「改元系」漢字群もあります。

これらの「災害系」と「改元系」の得票率を積み上げてみると、以下の通りとなります。
「平成の時代が終わる」が「平」か「終」のどちらかにまとまると、「今年の漢字」は違った結果になっていたでしょう。

「災害系」と「改元系」の得票率グラフ

※「変」と「天」については、「天変地異」、「天皇陛下」、「元号が変わる」など、「災害系」にも「改元系」にも属するものとしています。

3. 「今年の漢字」についての法則

過去のデータを分析してみると、いくつか法則めいたことがみえてきます。

法則1:「今年の漢字」には、簡単な字が選ばれやすい。

応募状況についての分析で示したように「応募者のかなりの割合を小中学生が占めている?」とみられることが影響しているのか、「今年の漢字」の栄誉に浴する漢字には難しい字は多くありません。

以下は、歴代の「今年の漢字」について、その字を習う学年などの対応表をまとめたものですが、ほとんどは小学4年生までに習う漢字です。

漢字の難易度レベル一覧表

例外的に選ばれた小学4年生までに習わない漢字については、2104年の「税」を除いて、すべて得票率が10%を超える圧倒的な支持を集めています。

法則2:「今年の漢字」は前年度のトップ10にはない。

以下は、2012年以降の得票数トップ10の推移をまとめたものです。

グレーで塗りつぶしたオリンピック関連の漢字を除いて、「今年の漢字」は前年度のトップ10にはランクインしていません。2年続くと「毎年の漢字」になってしまいます。

ちなみに、ここ最近における「今年の漢字」トップ10の常連は「変」で、2018年5位、2017年8位、2016年3位、2015年9位と、4年連続でランクインしています。

トップ10一覧表

法則3:オリンピックイヤーは「金」が選ばれやすい。

2000年代に入って5回のオリンピックが開催されていますが、そのうちの3回(2000年、2012年、2016年)まで「金」が選ばれていますので、「金」は「来年の漢字」の最有力候補でしょう。

令和最初の「今年の漢字」を予想する

冒頭で今年の出来事を振り返り、「災」「多」「令」「和」「税」を「今年の漢字」の有力候補としてリストアップしました。

今年の漢字候補のプロフィール

法則にあてはめると、「昨年の漢字」である「災」や、画数が多く、小学4年生までには習わない「税」は候補から外してよさそうです。

残るは「多」「令」「和」ですが、来年開催されるオリンピック・パラリンピックで、さらに多様性の理解と尊重が進むことを期待して、「多」は、来年の漢字大本命である「金」の対抗馬として残しておきたいと思います。

これで「令」と「和」という改元系の漢字が残りました。
すでに昨年の時点で、改元系の漢字群は20%近い得票率を獲得していましたので、改元本番の今年は、さらなる得票率の伸びを期待できるでしょう。

あとは「令」と「和」のどちらが多いかの判断です。
昨年の得票率を見ると、「平」は「成」の7倍近い得票率となっていますので、「令」の方が「和」よりは多くなりそうです。

というわけで、今年は、

今年の漢字の予想は「令」

を「今年の漢字」と予想します。

改元が行われたのが5月で、少し時間がたってしまいましたが、即位の礼や祝賀パレードで、改元当時のお祝いムードの記憶が更新され、それが応募に結び付くことを期待しています。

最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。

※ 本記事中の応募数等のデータの出典:公益財団法人 日本漢字能力検定協会