顧客満足度(CS)調査を上手に活用していく7つのポイント~成長する会社の調査活用方法

顧客満足度調査を成功させる7つのポイント

顧客満足度調査を実施して「○○を変えよう」「○○をよくしよう」とする行動につなげていくためには、いくつかおさえておくべきポイントがあります。

  • 目的の明確化とそれにあわせて調査項目(=指標)を組み立てること
  • 重要度や他社評価情報をもとに優先度を特定すること

などです。
このコラムでは成果につながるCS調査にするためのポイントを7つあげて、具体的な質問例や分析チャート例も交えてご紹介します。

多くの企業で実施している顧客満足度調査ですが、

  • 調査をしただけで終わってしまっている
  • 調査がマンネリ化している

ことも少なくないようです。

顧客満足度調査を実施しただけで活用できていない原因は以下のようなものです。

  • そもそも調査の精度が低い
  • 優先的に取り組むべき課題を見つけることができていない
  • 数値の背景にある情報を引き出せていない
  • 調査結果を社内で共有できていない

原因がわかれば、対策を立てることができます。

顧客満足度(CS)調査を上手に活用していくためのポイントをご説明します。

① 調査の目的を明確にする

そもそも、なぜ顧客満足度調査をするのでしょうか?

「満足度がKPIになっているから」
「他社もやっているから」

ではありませんよね。
会社の製品やサービスに満足してもらって、使い続けてもらうためです。

顧客満足度調査を上手に活用することによって、様々な問題や不満を一つひとつ解決し、顧客とのつながりを強めて「ファン」になってもらいます。
製品やサービスに満足してファンになってくれた顧客は、利用し続ける、より多く利用する、他の人にすすめることで、売上の維持・拡大を支えてくれます。

製品・サービスの利用に満足したファンによる推奨が業績向上をもたらす

顧客満足度調査は、どのような困難な時にも会社の売上を支えてくれるファンを増やしていくために行います。

② 目的地への道しるべ(満足度指標)を定める

「そもそも調査の精度が低い」のかどうかをチェックする方法は簡単です。
6つの「W」を使って調査設計の重要なポイントを整理していきます。

「調査の6つのW」

Who:誰から
What:どのような情報を
When:いつ
Where:どこで
Why:なぜ
Way:どのようにして

「Why:なぜ」については、先ほど、「会社の製品やサービスに満足してもらって、使い続けてもらうため」であることを確認しました。
残る5つの中で、特に重要なのは「Who:誰から」と「What:どのような情報を」の2つです。

  • 誰にファンになってもらいたいのか?
  • ファンとファンでない人ではどのような違いがあるのか?
  • なぜファンでいてくれるのだろうか?
  • なぜファンになってくれないのだろうか?

などについて深堀しながら考えていきます。
当たり前のことのように思われますが、これらを実践することが、改善に向けた取り組みの土台になっていきます。

時々、「お客様のことは“肌感覚”でわかっているから、調査なんかしなくてもよい」とおっしゃる方がいます。
しかしながら、“肌感覚”は、なかなか他の人と共有できません。
満足度というわかりやすい数値で共有されることで、社内でお客様に対する理解が進み、顧客ニーズに合った製品やサービスの提供へとつながります。

代表的な顧客満足度の数値指標には以下の3種類があります。

  • 推奨意向の回答割合を集計して、推奨者の割合から批判者の割合を引いて求めたネットプロモータースコア(NPS)
  • 総合満足度や継続利用意向、推奨意向などの複数の回答データから求めた満足度インデックス(CSI)
  • 「どれくらい満足しているか」の満足度質問に対する回答者の割合(比率)や平均値

※NPSは、ベイン・アンド・カンパニー、フレッド・ライクヘルド、サトメトリックス・システムズの登録商標です

それぞれの指標のメリットとデメリットを比較すると以下のとおりです。

指標内容(代表的な例)主なメリット主なデメリット
NPS「10.必ずすすめる」~「0.決してすすめない」の11段階で評価してもらった推奨意向の「9~10点」の人(推奨者)の割合から「6点以下」の人(批判者)の割合を引いた数値シンプルでわかりやすい一般に他の指標にくらべ測定誤差が大きい
日本では10点がつきにくい
CSI総合満足度や継続利用意向、推奨意向などの回答データをもとに構造分析などを通じて「満足度」得点を算出し、インデックス化した数値複数の評価質問をもとにインデックス化している場合には、測定誤差が小さくなる他との比較なしにスコア自体から意味を読み取ることが難しい
総合満足度
(Top 2 Box)
「どの程度満足しているか」について5段階評価で5点または4点をつけた人の割合を示す数値「満足している」人の割合がわかる「満足」だけではロイヤリティとの結びつきが弱い場合がある

長く付き合っていくことになる指標ですから、できるだけ、わかりやすく、かつ、安定した結果が出るものであることが重要です。
顧客獲得において口コミの威力が特に強力な市場では、「家族や友人・知人にすすめる」度合いを表す推奨意向が必須の指標となります。

しかしながら、「そもそも人にすすめるようなことはしない」や「人それぞれ」など、製品やサービスの利用評価とは異なる次元の理由から、推奨意向が低い評価に留まる場合があります。
そのため、実際のユーザー行動に近いレベルの数値が得られる指標として継続利用意向についても測定することをおすすめします。

もっとも継続利用意向においても、「解約すると違約金がかかる」「変える手続きが面倒」などの慣れ・なじみ・しがらみ要因から、消去法的に継続利用が選ばれることも少なくありません。
推奨意向と継続利用意向をあわせて、ファンによる愛され度合いの強さを測る複合指標とすることが有効です。

推奨意向と継続利用意向をあわせて、ファンによる愛され度合いを測る複合指標とすることが有効

③ 大きな指標の改善につながる小さな指標を定める

推奨意向、継続意向、NPS、CSI、総合満足度などは全体的な取り組みの成果をみる総合指標です。
改善のためのマーケティング施策を考えていくには、より具体的な指標の動きも見ておく必要があります。

6つのWのうちの「どのような情報を」について考えたことが、このより小さな指標を設定するのに役立ちます。
調査で知りたい情報について、

  • 会社の取り組みで改善できる部分
  • 会社の取り組みだけでは改善効果がでにくい部分

に分けて、「会社の取り組みで改善できる部分」について、どのような要素が顧客の評価に影響を与えそうか具体的にリストアップしていきます。

とても手がかかる大変なことのように思われますが、会社のお客様についての専門家であるクライアント自身とマーケティング調査の専門家である市場調査会社との共同作業で進めていくことにより、顧客の評価に影響を与える要因を網羅した満足度評価の全体構造についての仮説を立てていきます。

具体的な評価指標を検討する際のポイントが2つあります。

ポイントその1 細かく聞きすぎない

つい具体的な詳しい情報を得ようとして顧客にとっては違いがわからない評価項目を盛り込んでしまいがちです。もしお手元に満足度調査のデータがある場合には、評価項目間の相関を分析してみてください。相関が0.8を超えている場合には、実質的に同じことを聞いてしまっています。

そうならないためには、全体な評価構造を把握したうえで、個々の評価要素を対象者が違いを識別できるレベルの具体的な表現に落とし込んでいくようにします。

ポイントその2 ブランドイメージも重要な要素である

満足度というと、製品やサービスの品質に結び付けて考えてしまいがちですが、ブランドイメージも満足度の重要な要素です。
たとえば、お店で親切に応対してもらうことで、会社に対してもよいイメージを持って、会社のことを好きになってくれることがあるでしょう。
これまでにたくさんの顧客満足度モデルの分析をしてきた経験では、イメージが顧客ロイヤリティに与える影響度はだいたい3~6割くらいです。

機能などの物理的な品質がわかりやすいものではイメージの影響度は低い傾向ですが、それでも、たとえば使い方などについてコールセンターに問い合わせた時の対応がイメージを形成して、推奨意向などの全体的な評価に影響を与えることがわかっています。
顧客満足度調査は、自社のお客様を対象としたブランドイメージ調査でもあります。

④ 数値の裏側を読む

平均点や%の数字は客観的で一見わかりやすい情報ですが、数値だけからは、顧客が抱える問題点やニーズを、お客様の気持ちに沿って捉えることはできません。
推奨意向などの評価に続けて、その評価理由を自由記述してもらうことをおすすめします。
調査対象者の中には非常にクリエイティブな方がいらっしゃるものです。そういう方々のコメントを読むと、具体的な評価指標についてのさらに具体的な評価ポイントが見えてきます。

顧客満足度調査の自由回答はカスタマーボイス(お客様の声)であり、貴重な情報ですが、社内の関係者全員がすべてのコメントに目を通すことは難しくなります。

この問題は、アフターコーディングにより解決します。
分析者が類似したコメントを同一カテゴリーに分類してコード化(アフターコーディング)することで、カスタマーボイスを定量データとして集計・分析します。

定性的な情報である自由回答をコーディングすることにより、定量的な情報にする

社内共有に際しては、カテゴリー別の集計結果に、各カテゴリーに代表的なカスタマー・ボイスを併記することで、数値の裏側にある感情を読み取り、理解することが可能になります。

⑤ 満足度と重要度を組み合わせて優先度を特定する

顧客の声に耳を傾けすぎるのも問題です。
「お客様が言っているから」と、顧客の要望のすべてに対応しようとすると、どれも中途半端になってしまい、本当に必要な対策を打つことができずに、逆に不満足を拡大してしまうことになりかねません。

顧客満足度調査の分析においては、全体像を俯瞰したうえで、重要なポイントに的を絞っていくというのが基本方針です。
ここで威力を発揮するのが満足度キードライバー分析です。満足度キードライバー分析では、相関分析や重回帰分析などにより回答データの関係性を分析して、満足度やロイヤリティに強い影響を与える具体的な要素を見つけ出します。

直接「最も重視するものを教えてください」とか「○○はどの程度重要だと思いますか」と質問しなくとも、重回帰分析でデータの関係性を分析して、評価に影響を与えるキードライバーとその重要度を明らかにすることができます。
直接質問する方式は、非常にわかりやすいものの、一般に、料金の重要度が圧倒的に高くなる傾向があります。これに対して、重回帰分析では表面には表れない因果関係を探り、より正確な重要度情報を得ることが可能です。

キードライバー分析の結果に基づき、以下のツールを活用して顧客満足度向上に取り組くんでいくうえでの優先度を特定していきます。

顧客満足度調査結果活用のためのツール:重要度 vs. 満足度チャート

左側に重要度を、右側に現状の満足度を並べて比較し、重要な項目(キードライバー)について現状のパフォーマンス(満足度)を確認します。

重要度 vs. 満足度チャート

「重要度 vs. 満足度チャート」の情報は、さらにCSポートフォリオなどに展開して、優先的に改善が必要なところを絞り込んでいきます。

CSポートフォリオ

⑥ 競合他社に対する情報も集める

評価項目の中には、一定の水準に達していればそれ以上満足度が大幅に上昇することがないものもあり、低い評価=改善が必要とならない場合があります。
競合他社に対する評価情報と組み合わせた分析ができれば、競合よりも評価が低く、重要度が高い項目を最優先に取り組むべき分野として的を絞っていくことができます。

顧客が複数の会社の製品やサービスを利用している場合には、以下のような質問により主要な競合他社を特定して、その会社についても評価してもらいます。

競合の種類定義(自社以外で・・・)
主要競合お客さまが最もよく利用している会社
ベスト競合お客さまが業界トップと認識している会社
人気競合お客さまが最も利用したいと思う会社
主要な競合他社を特定する質問の例

複数の会社を使い分けることが一般的ではない製品やサービスの場合にも、以下のような質問により主要な競合他社を特定して、その会社についてイメージ評価をしてもらいます。

⑦ 常にアンテナを張る

毎年10月に実施など、定点観測を目的とした調査をうまい具合にPDCAサイクルに組み込めない場合、満足度が大きく落ち込んでいないことを確認するだけの形骸化した調査になってしまうことがあります。

以前は、顧客満足度調査は全身の定期健康診断で、検診の結果、気になるところが出てきたら精密検査をするのが効果的な運用方法とされていました。しかし今は、インターネット調査を使えば、常に調査を動かしていくことができます。
お客様アンケートで、常にアンテナを張って、より大きく、より上を目指していくスパイラルアップのイメージです。

定点観測だったものが、数値を確認するだけに定例化しがち。お客様アンケートで、常にアンテナを張ってスパイラルアップをめざす

たとえば、オンラインやリアル店舗であれば、商品を買ってくれた人にWebアンケート画面を案内して、お店や購入した商品の満足度に加えて、お店や商品を知ったきっかけや購入の決め手、情報源などを答えてもらうようにします。

調査結果のうち、継続利用意向や満足度などの大きな指標は月次で推移をチェックし、気になる変化があればすぐに動けるようにしておきます。一方、満足度のキードライバー分析や、認知経路・購入の決め手などの消費行動の分析については、半期あるいは年次でじっくりと分析して、お客様についての基本的な理解をアップデートしていきます。

当社では、スパイラルアップを目指す365日稼働のお客様アンケートを月額数万円程度からご提供しています。

常にアンテナを張って、スパイラルアップを目指す365日稼働のお客様アンケート

顧客満足度(CS)調査を上手に活用していく7つのポイント【まとめ】

  • 調査の目的を明確にする
  • 目的地への道しるべ(満足度指標)を定める
  • 大きな指標の改善につながる小さな指標を定める
  • 数値の裏側を読む
  • 満足度と重要度を組み合わせて優先度を特定する
  • 競合他社に対する情報も集める
  • 常にアンテナを張る

いかがでしたでしょうか。

お客様の大切な時間を頂戴して実施する顧客満足度調査ですから、得られた情報を最大限に活用して、「また来る!」「また使う!」「使い続ける!」と言ってもらえるような製品やサービスの継続的な改善に結び付けることが求められます。

顧客満足度調査の実施をご検討でしたら、お気軽にお問い合わせください。