顧客満足度調査(CS調査)を実施して「○○を変えよう」「○○をよくしよう」とする行動につなげていくためには、いくつかおさえておくべきポイントがあります。成果につながるCS調査にするためのポイントを7つ、具体的な質問例や分析チャート例も交えてご紹介します。

調査の目的を明確にする

そもそも、なぜ顧客満足度調査をするのでしょうか?

それは、会社の製品やサービスに満足してもらって、使い続けてもらうためです。

製品やサービスに満足してくれた顧客は、利用し続ける、より多く利用する、他の人にすすめることで、売上の維持・拡大を支えてくれます。

中には、「満足度がKPIになっているから」「他社もやっているから」と、調査を実施すること自体が目的になってしまっているケースもあるでしょう。

顧客満足度調査は「顧客が抱える様々な問題や不満を一つひとつ解決し、顧客とのつながりを強めて、どのような困難な時にも会社の売上を支えてくれる顧客基盤を強化するために実施する」ということを強く意識しておく必要があります。

調査結果が出てきてからの改善取り組みができるかどうかが、調査の成否を左右します。

目的地への道しるべとなる満足度指標を定める

代表的な顧客満足度の数値指標には以下の3種類があります。

  • 推奨意向の回答割合を集計して、推奨者の割合から批判者の割合を引いて求めたネットプロモータースコア(NPS)
  • 総合満足度や継続利用意向、推奨意向などの複数の回答データから求めた満足度インデックス(CSI)
  • 「どれくらい満足しているか」の満足度質問に対する回答者の割合(比率)や平均値

それぞれの指標のメリットとデメリットを比較すると以下のとおりです。

指標内容(代表的な例)主なメリット主なデメリット
NPS「10.必ずすすめる」~「0.決してすすめない」の11段階で評価してもらった推奨意向の「9~10点」の人(推奨者)の割合から「6点以下」の人(批判者)の割合を引いた数値シンプルでわかりやすい一般に他の指標にくらべ測定誤差が大きい
日本では10点がつきにくい
CSI総合満足度や継続利用意向、推奨意向などの回答データをもとに構造分析などを通じて「満足度」得点を算出し、インデックス化した数値複数の評価質問をもとにインデックス化している場合には、測定誤差が小さくなる他との比較なしにスコア自体から意味を読み取ることが難しい
総合満足度
(Top 2 Box)
「どの程度満足しているか」について5段階評価で5点または4点をつけた人の割合を示す数値「満足している」人の割合がわかる「満足」だけではロイヤリティとの結びつきが弱い場合がある

NPSと満足度の違いについては、こちらのページもご覧ください。

「NPSと顧客満足度~成果につながる指標の選び方」

長く付き合っていくことになる指標ですから、できるだけ、わかりやすく、かつ、安定した結果が出るものであることが重要です。
顧客獲得において口コミの威力が特に強力な市場では、「家族や友人・知人にすすめる」度合いを表す推奨意向が必須の指標となります。

しかしながら、「そもそも人にすすめるようなことはしない」や「人それぞれ」など、製品やサービスの利用評価とは異なる次元の理由から、推奨意向が低い評価に留まる場合があります。
そのため、実際のユーザー行動に近いレベルの数値が得られる指標として継続利用意向についても測定することをおすすめします。

もっとも継続利用意向においても、「解約すると違約金がかかる」「変える手続きが面倒」などの慣れ・なじみ・しがらみ要因から、消去法的に継続利用が選ばれることも少なくありません。

推奨意向と継続利用意向をあわせて、顧客ロイヤリティのレベルを測る複合指標とすることが有効です。

推奨意向と継続利用意向をあわせて、顧客ロイヤリティのレベルを測る複合指標とすることが有

改善につながる評価指標を定める

推奨意向、継続意向、NPS、CSI、総合満足度などは全体的な取り組みの成果をみる総合指標です。
改善のためのマーケティング施策を考えていくには、より具体的な評価の動きも見ておく必要があります。

調査で知りたい情報について、

  • 会社の取り組みで改善できる部分
  • 会社の取り組みだけでは改善効果がでにくい部分

に分けて、「会社の取り組みで改善できる部分」について、どのような要素が顧客の評価に影響を与えそうか具体的にリストアップしていきます。

具体的な評価指標を検討する際のポイントが2つあります。

細かく聞きすぎない

つい具体的な詳しい情報を得ようとして顧客にとっては違いがわからない評価項目を盛り込んでしまいがちです。もしお手元に満足度調査のデータがある場合には、評価項目間の相関を分析してみてください。相関が0.8を超えている場合には、実質的に同じことを聞いてしまっています。

そうならないためには、全体な評価構造を把握したうえで、個々の評価要素を対象者が違いを識別できるレベルの具体的な表現に落とし込んでいくようにします。

具体的な表現に落とし込んでいくやり方については、こちらのページをご覧ください。

アンケート上手になるための聞き方の工夫~質問項目の作りかた

ブランドイメージも見逃さない

満足度というと、製品やサービスの品質に結び付けて考えてしまいがちですが、ブランドイメージも満足度の重要な要素です。

たとえば、お店で親切に応対してもらうことで、会社に対してもよいイメージを持って、会社のことを好きになってくれることがあるでしょう。
これまでにたくさんの顧客満足度モデルの分析をしてきた経験では、イメージが顧客ロイヤリティに与える影響度はだいたい3~6割くらいです。

製品という目に見えるモノがあるメーカーの場合、イメージの影響度は低い傾向ですが、それでも、たとえば使い方などについてコールセンターに問い合わせた時の対応がイメージを形成して、推奨意向などの全体的な評価に影響を与えることがわかっています。

顧客満足度調査は、自社のお客様を対象としたブランドイメージ調査でもあります。

数値指標の裏側を読む

平均点や%の数字は客観的で一見わかりやすい情報ですが、数値だけからは、顧客が抱える問題点やニーズを、お客様の気持ちに沿って捉えることはできません。
推奨意向などの評価に続けて、その評価理由を自由記述してもらうことをおすすめします。
調査対象者の中には非常にクリエイティブな方がいらっしゃるものです。そういう方々のコメントを読むと、具体的な評価指標についてのさらに具体的な評価ポイントが見えてきます。

顧客満足度調査の自由回答はカスタマーボイス(お客様の声)であり貴重な情報ですが、社内の関係者全員がすべてのコメントに目を通すことは難しくなります。

この問題は、アフターコーディングにより解決します。
分析者が類似したコメントを同一カテゴリーに分類してコード化(アフターコーディング)することで、カスタマーボイスを定量データとして集計・分析することができます。

定性的な情報である自由回答をコーディングすることにより、定量的な情報にする

社内共有に際して、「○○○のコメントが全体の△%」というようなカテゴリー別の集計結果に、各カテゴリーに代表的なカスタマーボイスを併記することで、数値指標の裏側にある感情を読み取り、顧客理解を深めてもらうことができます。

改善に取り組む優先度を特定する

顧客の声に耳を傾けすぎるのも問題です。
「お客様が言っているから」と顧客の要望のすべてに対応しようとすると、どれも中途半端になってしまい本当に必要な対策を打つことができずに、逆に不満足を拡大してしまうことになりかねません。

顧客満足度調査の分析においては、全体像を俯瞰したうえで重要なポイントに的を絞っていくというのが基本方針です。

ここで威力を発揮するのがキードライバー分析です。相関分析や重回帰分析などにより回答データの関係性を分析して、満足度やロイヤリティに強い影響を与える具体的な要素を見つけ出します。

直接「最も重視するものを教えてください」とか「○○はどの程度重要だと思いますか」と質問しなくても、重回帰分析でデータの関係性を分析して、評価に影響を与えるキードライバーとその重要度を明らかにすることができます。

直接質問する方式は非常にわかりやすいものの、一般に料金の重要度が圧倒的に高くなる傾向があります。これに対して重回帰分析では表面には表れない因果関係を探り、より正確な重要度情報を得ることが可能です。

キードライバー分析の結果に基づき、「重要度 vs. 満足度チャート」や「CSポートフォリオ」などのツールを活用して顧客満足度向上に取り組くんでいくうえでの優先度を特定していきます。

「重要度 vs. 満足度チャート」とは

左側に重要度を、右側に現状の満足度を並べて比較し、重要な項目(キードライバー)について現状のパフォーマンス(満足度)を確認します。

重要度 vs. 満足度チャート

「重要度 vs. 満足度チャート」の情報を、さらにCSポートフォリオなどに展開して優先的に改善が必要なところを絞り込んでいきます。

競合に対する情報も集める

評価項目の中には、一定の水準に達していればそれ以上満足度が大幅に上昇することがないものもあり、低い評価=改善が必要とならない場合があります。
競合他社に対する評価情報と組み合わせた分析ができれば、重要度が高いにもかかわらず競合よりも評価が低い項目的を絞って最優先で取り組んでいくことができます。

顧客が複数の会社の製品やサービスを利用している場合には、以下のような質問により主要な競合他社を特定して、その会社についても評価してもらいます。

競合の種類定義(自社以外で・・・)
主要競合お客さまが最もよく利用している会社
ベスト競合お客さまが業界トップと認識している会社
人気競合お客さまが最も利用したいと思う会社
主要な競合他社を特定する質問の例

複数の会社を使い分けることが一般的ではない製品やサービスの場合にも、以下のような質問により主要な競合他社を特定して、その会社についてイメージ評価をしてもらいます。

ワンランク上の満足度をめざす

顧客満足はあくまでも通過点で、究極の目標は顧客ロイヤリティです。
ワンランク上の満足やロイヤリティを目指すときにおすすめなのが、もともとは7段階あった評価のうち下の3つの「不満」を一つにまとめた変形5段階評価です。

満足度質問の変形5段階評価

一般にアンケート調査では中立の評価を真ん中においた選択肢の形がよく使われています。満足度調査の場合は以下のような5段階評価です。

5.非常に満足
4.やや満足
3.ふつう (または「どちらともいえない」)
2.やや不満
1.非常に不満

このうちの「5.非常に満足」と「4.やや満足」をトップ2ボックス評価として満足度を表す数値とする見方が一般的です。日本人の場合には中立の評価をしやすい傾向があるため、トップ2ボックスの下の「3.ふつう」の評価が結構な割合になります。

また「2.やや不満」と「1.非常に不満」をまとめてボトム2ボックス評価としますが、この割合が高くなるような会社はそもそも満足度調査を行っていませんので、通常の場合、ボトム2ボックスがせいぜい10%くらいでクロス集計の軸にもなりません。

そこで、「2.やや不満」と「1.非常に不満」を1つにまとめて、その分、満足の方を細分化したのが「ワンランク上の満足度質問法」です。

この場合、「3.やや満足」ではトップ2ボックスに含まれませんので、一般的な5段階評価に比べると満足度の数字は低め=厳しめになります。
しかし、「満足」のレベルを細分化していますので、ロイヤリティにつながる高い満足度を実現するために何をしたらよいのか、より焦点を絞ってヒントを探していくことができます。

業界で評判の良い企業であれば、それこそ80%、90%といった高い満足度が得られていることと思います。そうした企業の場合、一般的なCS調査のやり方では、高い満足度に満足するだけに終わってしまいがちです。
「もっと長く利用する(継続利用)」「もっと多く利用する(利用拡大)」「利用することをすすめる(推奨意向)」といったロイヤリティの高い顧客行動を意識して顧客満足度調査を設計・実行・活用していくと、より高いステージの満足度を目指していくことができます。

実際に顧客満足度調査を実施しようとすると、BtoBとBtoCの違いや現状の満足度レベルによって、採用する指標や質問の仕方が変わってきます。

たとえば、「弱みは価格が高いことくらい」というような業界トップクラスの企業の場合、通常のアプローチでは価格面以外の改善ニーズが見えてきません。
また、BtoBもBtoCも顧客接点の改善を通じてロイヤリティを高めていくという構造は同じですが、BtoBならではの実施ポイントがあります。
それぞれについてより詳しく説明しているページをご紹介しておきますので、自社の状況にあわせて参考にしてください。

既に強みを持つ企業が強みをさらに強化して、より高いステージの顧客満足を達成するために実施する顧客満足度調査の考え方については以下のページをご覧ください。

「強みをさらに強化する 優良企業のための顧客満足度調査」

BtoB CS調査については以下のページをご覧ください。

「自社の強みを明らかにする BtoBの顧客満足度調査」

調査になじみのない方にも、枠組みのしっかりとした顧客満足度調査を効果的に実施していただくことができるよう、基本的な調査内容をパッケージ化した定型サービスもあります。

「今すぐはじめる満足度調査 CSスタートパック」

お客様の大切な時間を頂戴して実施する顧客満足度調査ですから、得られた情報を最大限に活用して、「また買う」「また使う」「使い続ける」と言ってもらえるような製品やサービスの継続的な改善に結び付けることが求められます。

グルーブワークスは顧客満足度調査(CS調査)のスペシャリストです

当社のリサーチャーは全員が20年以上のキャリアをもち、顧客満足度(CS)調査先進国であるアメリカの科学的な調査・分析手法を学んだCS調査のスペシャリストです。

豊富な経験と科学的な知識をベースに、調査の質にこだわり熱意をもって取り組ませていただきます。
大切なお客様の情報をお預かりするCS調査だからこそ、グルーブワークスにお任せください。