夢の9秒台

夢の9秒台

先日、陸上の男子100mで、桐生祥秀選手が9秒98の日本新記録をマークしました。1998年に伊東浩司(現・日本陸連強化委員長)が10秒フラットの記録を出してから19年、ついに日本人が10秒の壁を突破したのです。

人類が初めて9秒台を達成したのは1968年のことで、メキシコ五輪において米国のジム・ハインズが9秒95を記録しました。なお、こちらは高地記録(標高1,000m以上)で、平地では1983年にカール・ルイスがマークした9秒97が初となります。

その後、9秒台のスプリンターは次々と誕生し、桐生選手は世界歴代だと126人目になるそうですが、アジア系人種としては中国の蘇炳添(2015年に9秒99を記録)に次いで2人目、タイムでは東アジア最速となる快挙です。

男子100mは

1983年: 9秒97 (カール・ルイス)
1991年: 9秒86 (カール・ルイス)
1999年: 9秒79 (モーリス・グリーン)
2008年: 9秒69 (ウサイン・ボルト)

と、8~9年ごとにタイムをほぼ0.1秒ずつ縮めてきていたので、2008年に9秒6台をマークしたウサイン・ボルトが翌年に9秒58の世界新記録を出したのは衝撃的でした。

それでは、女子100mの世界記録保持者は誰かご存知でしょうか?

ウサイン・ボルトは2009年の同じ年に100mと200mの2種目で世界新記録を樹立したのですが、女子は、1988年にフローレンス・ジョイナーが100mと200mの世界記録を出して以来、30年近く更新されていません。
ちなみに、女子歴代2位の記録は、2009年にカーメリタ・ジーターがマークした10秒64ですが、ジョイナーの記録(10秒49)とはまだかなりの差があります。ジョイナーは1998年に38歳の若さで急逝しましたが、もし存命だったら未だに自分の記録が破られていないことに驚いているかもしれません。

【主な陸上競技(走種目)の世界記録】
夢の9秒台

さて、100mを10秒で走るということは、平均で秒速10m(時速36km)になりますが、スタート時や後半の減速を考慮するとトップスピードはそれよりずっと速い必要があります。9秒58の世界記録を持つウサイン・ボルトの場合、最高速度は秒速約12.5m(時速45km)に達するそうで、スポーツ科学的には遅くともトップスピードが秒速約11.6m(時速42km)に乗らないと10秒を切るのは難しいそうです。

短距離走でタイムを縮めるには

・ピッチ(足の回転数)を増やす
・ストライド(歩幅)を伸ばす
・スタート時の反応を早める
・シューズやトラックの品質向上

等が考えられます。
筋力や足の長さなど、体格・体力面の違いを考えると、日本人選手がピッチとストライドの両方で世界のトップ選手に伍していくのは正直困難でしょう。ただ、ピッチとストライドの最適バランスにより、いかに早くトップスピードに乗り、そのままできるだけ減速しないでゴールするか、という技術を磨いていければ、今後も桐生選手の記録更新や他の9秒台日本人スプリンターの誕生が期待できるでしょう。