パンダの赤ちゃん誕生

パンダの赤ちゃん誕生

上野動物園でジャイアントパンダの赤ちゃんが誕生しました。

母親のシンシン(11歳)は5年前にも出産していますが、この時は残念ながら生後一週間経たずに死亡してしまいました。大人のパンダの体重が85~150kgなのに対し、赤ちゃんはわずか100~200gの超未熟児状態で生まれてきます。飼育下でのパンダの交配は難しいとされる上に、出産・育児のリスクが極めて高いのです。生後3ヶ月ほどで歩き始め、8~9ヶ月経つとようやく離乳して竹を食べるようになるそうですが、今回は親離れできるまで無事にすくすく育ってほしいですね。

野生のジャイアントパンダは、中国の四川省など標高の高い寒冷な竹林に生息しています。中国では古くから存在を知られていて古代の文献にパンダと思われる記述が残っていたりするのですが、世界的に知られるようになったのは19世紀半ば以降のことです。ちなみに、パンダの語源はネパール語の「ネガリャポンヤ(竹を食べる者)」の「ポンヤ」という説があります。
中国名は「大熊猫」で、生物分類上は食肉目・クマ科(学名はAiluropoda melanoleuca)になります。つまり、パンダはクマの仲間なのですが、氷河期の食糧難を乗り切るために竹を主食とするように適応したと考えられます。ただ、もともと肉食だったパンダの消化器官は短いままで、竹の栄養価じたいも低いため消化吸収が極めて非効率です。そのため、1日10~16時間眠ってエネルギーを温存し、起きている間はずっと食事し続ける必要があるそうです。1日に10~40kgもの竹を食べ、動物園のパンダのエサ代は1頭あたり年間で9,000万円以上にのぼるとのことですから大変ですね。

竹は数十年に一度、一斉開花後に枯死してしまうのですが、その影響などもあり1970年代に多くの野生パンダが餓死し、一時は1,000頭近くにまで個体数が減ってしまいました。その後、中国政府やWWF(世界自然保護基金)などNGOによる保護活動も始まり、現在は2,000頭を超えるまで回復してきているとのことです。ジャイアントパンダはIUCN(国際自然保護連合)のレッドリストで絶滅危惧種に指定されていましたが、昨年に危機ランクが一段階引き下げられました。

○ICUNのレッドリスト
http://www.iucnredlist.org/

ICUNのレッドリストでは、絶滅危機の恐れが強い順に

Critically Endangered(CE) :近絶滅種
Endangered(EN) :絶滅危惧種
Vulnerable(VU) :危急種
Near Threatened (NT) :近危急種
Least Concern(LC) :低危険種

とランクされており、ジャイアントパンダはEndangered(絶滅危惧種)からVulnerable(危急種)になりました。ただ、一般的にはVulnerable(VU)まで上位3つのカテゴリーに含まれる野生生物は“絶滅の恐れがある”と考えられますので、まだまだ安心はできません。

地球上の既知の生物種は約174万種といわれ、未知の種も数百万種は存在するだろうと考えられています。既知の生物種のうち、4分の3は昆虫類(約100万種)をはじめとする無脊椎動物が占めており、哺乳類は約5,500種と全体のわずか0.3%にすぎません。

生物分類群別の種の割合

脊髄動物の種の数

ICUNの最新のレッドリストによると、哺乳類で“絶滅の恐れがある”のは

Critically Endangered(近絶滅種) : 203
Endangered(絶滅危惧種) : 463
Vulnerable(危急種) : 526

の計1,192種で、哺乳類全体の2割を超えています。

また、WWFでは、さまざまな動物の個体数の平均変動率を表す「生きている地球指数」を公表しているのですが、それによると1970年から2012年までに脊椎動物の個体数は全体として58パーセントも低下したとのことです。同期間に、世界の総人口はおよそ37億人から70億人へと倍増しています。

○WWF「生きている地球レポート2016 要約版」
http://www.wwf.or.jp/activities/data/201610LPR2016_jpn_sum.pdf#search=%27%E7%94%9F%E3%81%8D%E3%81%A6%E3%81%84%E3%82%8B%E5%9C%B0%E7%90%83%E6%8C%87%E6%95%B0+wwf%27