日本人はいくら貯金してる?

総務省が平成26年(2014年)家計調査(貯蓄・負債編)の結果速報を発表しました。
それによると、二人以上の世帯における平均貯蓄額は1,798万円とのことです。
この数字だけ聞くと、「へぇ、みんな結構貯め込んでるんだなぁ」と驚かれる人も多いのではないでしょうか。

実は、貯蓄額別の世帯分布は下図のようになっています。

日本人はいくら貯金してる?

出典:総務省

これを見ると、平均値よりも左側に分布が偏っているのがわかりますね。
およそ3分の2の世帯は平均より貯蓄額が少ないことになりますので、この平均(1,798万円)を代表値として「日本人の平均貯蓄額」とするのは無理がありそうです。

なお、こちらのヒストグラム(柱状グラフ)は、各階級(金額区分)ごとの世帯割合が面積で表されています。従って、貯蓄額1,000万円未満の100万円刻みの部分については縦軸の目盛りとそれぞれの数字が一致しますが、1,000万円以上の階級では横軸の幅が広がる分、柱の高さが低くなるため縦軸の目盛りと数字が異なります。例えば、「3,000~4,000万円」の世帯は6.5%ですが、100万円刻みに合わせて横幅が10倍になる一方、高さは10分の1の0.65となっています。
数字の上では、最も割合が高いのは「4,000万円以上」の11.4%ですが、100万円刻みに間隔を揃えた場合に最も人数が多い「最頻値」は「100万円未満」の10.3%となるわけです。

分布の形状が、平均値を頂点にした左右対称の釣鐘型となる正規分布とかなり異なる場合、平均だけを見ていては実態を見誤る恐れがあります。
先の図では、平均だけなく中央値(1,052万円)も記載されています。
「中央値」とは、データを大きさの順に並べたときに、全体のちょうど中央に位置する値のことです。
総務省の注釈によると、1,052万円というのは貯蓄ゼロの世帯を除いた中央値とのことですので、「100万円未満」の10.3%のうち貯蓄ゼロ世帯がどれくらいかは不明ですが、彼らを含めると中央値はもう少し低くなると考えられます。
いずれにしろ、今回のケースでは、平均(1,792万円)よりも中央値の方が皆さんの実感に近いのではないでしょうか。

貯蓄・資産額や年収の分布、株価・為替変動などの経済事象、あるいは地震の規模別の発生頻度といった自然現象の多くは正規分布とはならず、ほとんどゼロ近辺に集まるものの、ごく一部が極端に大きな値をとる“ベキ分布”となることが分かっています。
先の貯蓄額の例ですと、貯蓄ゼロを含む「100万円未満」の世帯が最も多い一方、「4,000万円以上」の世帯には数億円、数十億円といった富裕層も含まれる、というわけです。
調査仕様や貯蓄額(金融資産)の定義の違いには留意しなければなりませんが、金融広報中央委員会が昨年実施した『家計の金融行動に関する世論調査』によると、2人以上世帯の30.4%は「金融資産を保有していない」とのことです。
また、野村総合研究所が2013年時点の各種統計等から富裕層の世帯数および資産規模を推計しているのですが、それによると純金融資産保有額(保有資産の合計額から負債を差し引いた値)が1億円以上の「富裕層」は95.3万世帯(全世帯の1.8%)、5億円以上の「超富裕層」が5.4万世帯(同、0.1%)とのことです。