今回は「答えやすい質問方法」について説明します。
これから自分でアンケートをしようとする人はもちろん、調査データを活用する立場の人にもご参考になるものと思います。

アンケートの回収率や回答精度が低ければ、まったく無駄とは言わないまでも突っ込みどころ満載のデータになってしまいます。無駄や無理のない調査票になっているかどうかは、調査データの信頼性を左右する重要なポイントです。

アンケートは回答者の立場に立って作成する

アンケートを実施しようとするからにはもちろん調査目的があるわけですが、とかく「アレも聞きたい、コレも聞きたい」と1回の調査で質問を盛り込みすぎです。

ご自身がアンケートに協力する立場だとしたら、質問が長々と続く調査にすすんで回答したいと思いますか?
中には、どのようなアンケートでも快く引き受けてくれる人、あるいはアンケートを通して企業や社会に対する不満を訴えたい人なども一定数いますので、ある程度の調査サンプは集められるかもしれません。

しかし、できるだけ多くの人にアンケートに協力してもらい、質問を正しく理解して回答してもらった精度の高い調査データを得るためには、全体のボリュームや質問方法について、自らが回答者の立場に立って調査票(設問)を設計する必要があります。

全体の設問ボリューム

一般的に、アンケートに答えるのを面倒に感じる人が多いことを前提に考えると、協力率をアップさせるためには全体の設問ボリュームをできるだけ少なめに抑えるべきなのは言うまでもありません。

設問数が多めでも、サクサク答えられるように質問の流れやレイアウト、質問方法を工夫することはできますので、一概に何問以内が適当とは言えませんが、回答時間は5分程度、長くても10分以内が望ましいでしょう。

紙のアンケート用紙なら4ページ(A3サイズの2つ折りで1枚)に収まると、負担感も少ないですし、途中ページの回答漏れも防げます。
Webアンケートなら、ページ下に進捗状況を示すプログレスバーを表示するのも有効でしょうし、冒頭のあいさつ文で「所要時間は5分程度です」などと記載しておくのもよいですね。

聞きたい質問がたくさんある中で数を絞り込むのは大変ですが、その検討過程において「この質問(項目)とこの質問(項目)はまとめられる」などスリム化のアイデアが出てきたりしますので、本来の企画意図に立ち返って調査票をチェックし設問を厳選することは、調査目的をクリアにするうえでも非常に有意義です。

答えやすい質問方法

「答えやすい質問方法」については、重要なポイントが4つあります。

答えやすい質問フローやレイアウト

せっかくアンケートに協力してもらっても、最後まで回答してもらえなければあまり意味がありません。
ストレスなく最後まで気持ちよく回答してもらうためには、

  • 最初は簡単に答えられる質問から始める
  • 総合的、一般的な内容から徐々に詳細質問へ
  • 時系列や因果関係に沿った流れで質問する

のが基本です。
特別な質問意図がない限り、このセオリーに従うのが無難です。

また、特に紙でアンケートを行う場合には、文字のフォントやレイアウトにも気を配りましょう。
小さな文字でごちゃごちゃと詰め込みすぎたレイアウトだと、高齢者でなくても見づらくて読む気がなくなります。

回答順を示す矢印が付いた調査票を見かけることがありますが、あまりに多いとかえってわかりにくいですし、できればそうした回答指示がなくとも大丈夫なように、自然な質問フローとスッキリしたレイアウトにすることを心がけるべきです。

答えやすい質問文や質問項目のワーディング

質問文や質問項目の内容を正しく理解したうえで答えてもらわなければ、精度の高い回答データは得られません。
調査対象者が答えるのに戸惑ったり誤解したりすることのないよう、質問文や質問項目はできるだけ簡潔・具体的なものにしましょう。
意味があいまいだったり、1つの質問で2つ(以上)の内容が含まれていたりする(例えば、『〇〇の製品の機能やデザインについてどのように評価しますか?』などで「ダブルバーレル質問」といいます)のは避けなければなりません。

また、一般の人が対象者の場合には、業界の専門用語の使用は極力控えましょう。どうしても使わなければならない場合は注釈を付けてもよいのですが、実際はあまり読んでもらえないと思った方がよいです。

さらに、回答の選択肢を決める際はMECE(漏れなくダブりなく)に留意し、「その他」「どれもない」「わからない」などの選択肢を入れたりして、必ずどれかに答えられるようにしましょう。

答えやすい回答形式

設問の回答形式には

  • 単一回答(SA)
  • 複数回答(MA)
  • 自由回答(FA) ※FA(フリーアンサー)は和製英語(たぶん)で、英語ではOE(オープンエンド)といいます。

などがあります。

このうち、回答する側として最も答えやすいのは『あてはまるものを1つ選んでください』という単一回答(SA)です。調査票全体に占めるSA質問の割合をできるだけ多くすることが望ましいです。

複数回答(MA)は『あてはまるものをすべて選んでください』という質問ですが、項目数が多いと選ぶのも大変です。特に紙のアンケート用紙の場合は項目の順番によって回答の偏りが生じる(「オーダーバイアス」といいます)懸念もあります。
また、「3つまで選んでください」など回答制限を設ける場合がありますが、項目数が多かったりすると結構大変です。項目間の強弱を見たいということでしたら、回答負担を減らすためにも

Q. あてはまるものをすべて選んでください。

Q. その中で最もあてはまるものを1つ選んでください。

といった具合に、複数回答(MA)→単一回答(SA)の2問に分けて聞くことをおすすめします。

自由回答では、調査対象者に自分の言葉で意見を述べてもらいます。
必ずしもすべての人に答えてもらえるわけではありませんが、お客さまの生の声が聞け、思いもよらなかったコメントに“目からうろこが落ちる”ことも多く、ぜひとも活用していただきたいです。

とはいえ、何問も自由回答質問があると対象者もウンザリします。
選択肢の「その他」で「具体的に教えてください:         」といった部分FAは除き、1つの調査で自由回答は1~2問が適切でしょう。

対象者にストレスなく回答してもらう質問の流れや言葉づかい、レイアウトなど上手なアンケート作成の王道は、アンケートをたくさん作って(失敗も含め)場数を踏んでいくことです。

しかし、上手なアンケートをたくさん見て学んだり、経験豊富なプロの調査会社の力を借りたりすることにより早く上達することも可能です。アンケート質問の工夫に関するさまざまなノウハウにご関心のある方はご相談ください。

クライアントのための市場調査の参考書 「調査の基本」

7/4(月) 16:00~7/9(土) 16:00 Kindle無料キャンペーン実施中
Kindle Unlimitedをご利用でない方も無料でご覧いただけます。

[内容紹介]

本書は、「クライアント」として市場調査を利用される方向けのものです。
※自分自身でリサーチをしたい方はもっと分厚い専門書をお探しください。

本書では、クライアントとして市場調査会社とともに調査プロジェクトを動かしていく立場の方用に、的外れな調査をしないためのポイントやリサーチデータを活用する視点など、「使える」調査についての基本的なポイントをまとめています。

詳しくはAmazonのページでご覧ください。

ASIN ‏ : ‎ B09WYLL1YH