ブランド指標

「認知がないのは存在しないのと同じこと」と言われるほど、ブランド調査において認知度が大事な指標であることは間違いありません。

そして、認知度の指標の中でも最も重要なのが「純粋想起」です。特に、「○○について知っているブランドを教えてください」と聞いて真っ先に名前がでてくる第一想起が高いほど、強いブランドと言えます。

認知の中身もまた、ブランド調査の要素として欠かせません。

これについては、消費者自身に「どんなイメージを持っているのか」を語ってもらう「ブランド連想」と、企業側が用意したイメージ内容に「どれくらい当てはまっているか」を評価してもらう「イメージ評価」の2種類の指標があります。

「純粋想起」と「ブランド連想」については、以前のコラムで説明していますので、今回は「イメージ評価」について紹介します。

ブランド調査
ブランディングで最も重要な認知度指標「純粋想起」
ブランディングで最も重要な認知度指標「純粋想起」
ブランド調査
購買につながるブランド連想

イメージ評価については、イメージ全体評価と詳細イメージ評価の2種類の質問を行います。

イメージ全体評価

詳細なイメージ評価の前に、自社および競合他社のブランドについて、イメージ全体評価を聞いておきます。


自動車メーカーのイメージについておうかがいします。以下のそれぞれの企業/ブランドのイメージについて、あなたは全体としてどのように思われますか。(ヨコに1つずつ)

 非常によいややよいふつうあまりよくないまったくよくない
トヨタ12345
ホンダ12345
日産12345
フォルクスワーゲン12345
メルセデスベンツ12345
BMW12345

イメージ全体評価は、ブランドごとに、「非常によい」と「ややよい」を回答した人の割合であるTop 2 Boxスコアを算出して、勝った/負けたをみるのもよいですが、できれば継続的に調査を実施して、前回に比べてイメージがよくなっている/悪くなっているとか、競合との差が拡大/縮小しているとか、基準点からの変化を確認して、広告コミュニケーションの効果測定に役立てていきたい指標です。

詳細イメージ評価

全体評価に続いて、自社および競合他社のブランドについてあらかじめ想定される詳細なイメージ項目のリストを提示して評価してもらいます。

競合のブランドイメージも含めておくことで、マーケット全体でのイメージ構造を把握することができます。

イメージ項目のリストを作成するときは、機能的なイメージと情緒的なイメージに分けて考えると、上手く整理することができます。

機能的なイメージというのは商品・サービスの品質や効果・効能などの特徴に関することです。たとえば、「品質がよい」「技術力がある」「お得感がある」「環境にやさしい」のようなイメージです。

一方、情緒的なイメージについては、商品・サービスを持った/使ったときや、持っている/使っている人を見たときの気持ちを考えるとわかりやすいと思います。

たとえば、ブランドの鮮度を表現する言葉としては、以下のような言葉を思い浮かべることができます。

○ブランドの鮮度を表現する言葉の例

新しい、新鮮な、フレッシュな、若々しい、初々しい、イキのいい、目新しい、ハツラツとした、生き生きとした、旬な、とれたての、革新的な、今までにない、見たこともない、今どきの、最新の、先進的な、など

情緒的なイメージ項目としてよく使われるものに、「おしゃれな」「親しみやすい」「信頼できる」などがあります。

リストアップしたイメージ項目が10程度で、評価対象のブランドが自社を含めて3~4程度であれば、ブランドごとにそれぞれのイメージについて5段階などのスケールで評価してもらうことができます。


自動車メーカーのイメージについておうかがいします。「○○○(メーカー名が入る)」について、以下のそれぞれの点でどのように思われますか。(○はヨコに1つずつ)

 非常に そう思うそう思うどちらとも いえないそう思わないまったく そう思わない
チャレンジ精神がある12345
先進的12345
技術力がある12345
身近で親しみやすい12345
企業姿勢がよい12345
ユーザーを大切にしている12345
信頼できる12345
カッコいい12345
料金/価格がお得12345

イメージ項目数が15~20程度にのぼる場合や、評価対象ブランドの数が多くなる場合には、イメージ項目ごとにあてはまるブランドをすべて選んでもらう複数回答方式にすると対象者の負担が少なくなります。


自動車メーカーのイメージについておうかがいします。以下のそれぞれの項目について、当てはまると思われる企業/ブランドがありましたらすべて教えてください。(○はヨコにいくつでも)

 トヨタホンダ日産フォルクスワーゲンメルセデスベンツBMWどれもない
チャレンジ精神がある1234567
先進的1234567
技術力がある1234567
身近で親しみやすい1234567
企業姿勢がよい1234567
ユーザーを大切にしている1234567
信頼できる1234567
カッコいい1234567
料金/価格がお得1234567

それぞれのイメージについて「(非常に)そう思う」あるいは「あてはまる」と回答した人の割合を競合ブランドと比較して、自社が強い/弱いイメージを特定するのはもちろんのこと、ポジショニング・マップを作って、自社ブランドの立ち位置を確認することもできます。

業界内では強いブランドであっても、ひょっとすると「井の中の蛙」状態にあるかもしれません。ときどき異業種の代表的なブランドについても同様のデータをとって一緒に分析してみると、「大海」を知ることができます。

異業種の代表的なブランドを含むイメージのマップ

さらに、先に聴取しておいたイメージ全体評価と詳細イメージ評価について、重回帰分析や共分散構造分析などを行い、どのような詳細イメージがイメージ全体評価に強い影響を与えるのかを特定します。

広告出稿してもなかなか認知が上がらない、イメージが定着しないという場合、認知度とともに認知の中身をしっかりと調べてみることをおすすめします。

自社の特徴についての市場認識とかけ離れた広告をしてしまうと、自社のイメージアップに結び付かないばかりか、結局のところ商品・サービスカテゴリーの宣伝となり、最大手の競合を利することになってしまいます。・・・たとえば、「□□□」な特徴をもった「○○○ビール」の宣伝ではなく、単に「ビール」の宣伝になってしまうということです。

イメージ全体評価と詳細イメージ評価で認知の中身を知り、「なにがどの程度効くのか?」を把握しておくと、的外れなコミュニケーションをして、時間やお金を無駄にするリスクが低くなります。

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