先日、太陽フレアの影響による地磁気の乱れがニュースになりましたね。
国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)の発表によると、日本時間2017年9月6日(水)に、太陽の表面でX9.3の大規模な爆発現象「太陽フレア現象」が発生し、その爆発規模は通常の約1,000倍に及ぶ大型なものでした。また、この爆発に伴い、高温のコロナガス(CME、コロナ質量放出)が地球方向に噴出し、9月8日(金)午前8時30分頃に地球に到達した模様とのことです。その後、9月11日(月)にもX8.2の太陽フレアが発生しています。

人工衛星やその観測機器が影響を受けたり、地球上でも通信障害が発生したりするなどによって、私たちの日常生活に大きな支障が出るおそれがあると報道されていましたので、関心を持った方も多かったのではないでしょうか。国土地理院によると、カーナビやスマホなどでは、9月8日(金)の日中(10時~15時頃)に、測位精度がかなり悪くなる時間帯があったそうですよ。

この太陽フレア現象の画像が、以下のNASAのホームページで公開されています。
https://svs.gsfc.nasa.gov/12706

太陽フレア

地球の大きさと比較した写真もあり、太陽フレアの巨大さにビックリします。
Credit: NASA/GSFC/SDO

さて、太陽フレア現象は、発生したフレアの最大値により、小規模なものからA、B、C、M、Xの順にクラス分けされており、Cクラスのフレアは1年に1,000回程度発生、Mクラスのフレアは1年に100回程度発生、Xクラスのフレアは1年に10回程度発生、そしてXクラスの10倍のX10クラスのフレアは1年に1回程度発生するそうです。

過去、太陽フレアに伴うCMEが地球に衝突して発生した磁気嵐によって、大規模な被害が引き起こされたことが何度かあります。
1859年9月には、人類の記録上最大の宇宙天気現象と言われる「キャリントン・イベント」があり、欧米で当時普及が始まっていた通信機器の回路のショートや火災などの被害が発生したそうです。
そして、1989年3月13日には、カナダのケベック州で磁気嵐の影響による大停電があり、約600万人が9時間停電の被害を受けました。この時の太陽フレアはX4.6だったそうですが、被害総額は数100億円以上とも言われています。

NICTのホームページには、1975年以降に観測された大きなフレアの一覧が公表されています。
先日観測された太陽フレアと同規模のX9.0以上のものはこれまでに30回観測されています。

太陽フレアと宇宙天気情報
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また、NICTのデータ配信サービスでは「今日の宇宙天気情報」を見ることができます。

たとえば、X9.3の太陽フレアに伴うCMEが地球に到達した9月8日(金)の「概況・予報」では、以下のような記載があります。

【NICT 今日の宇宙天気情報(日報:2017年09月08日 15時00分 (JST))】
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太陽活動は非常に活発でした。
今後1日間、太陽活動は活発な状態が予想されます。
地磁気活動は大きな地磁気嵐となりました。
今後1日間、地磁気活動は非常に活発な状態が予想されます。
9月5日0時40分に発生したプロトン現象は、現在も継続中です。
9月8日7時10分に高エネルギー電子の臨時警報を解除しました。
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出典:国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)ホームページ「データ配信サービス」

太陽活動は、地球の気候変動に大きな影響を与えているばかりでなく、太陽活動が活発になると経済活動が活発になり、太陽活動が縮小に向かうと景気が悪くなるという説もあります。
通信技術のさらなる発展と情報量の爆発的な増大によって、いずれそのうち、毎朝のニュースで「宇宙天気予報」コーナーが始まる日がくるかもしれませんね。

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