今年の春以降、ポテトチップスの一時販売休止や東日本地域でのカール販売終了など、スナック菓子に関するニュースが続きました。

ポテトチップスの一時販売休止は、原料である北海道産じゃがいもの不作によるものですが、カールの東日本における販売終了は、1990年代のピーク時に比べ売上が3分の1に落ち込んだ販売不振が理由です。全国の生産拠点を四国1カ所に集約し、西日本の限定販売とすることで「カール」ブランドを存続させることになりました。

ポテトチップスは、19世紀半ば、アメリカのレストランで極薄のフライドポテトを出したのが始まりといわれています。日本では戦後すぐの時期から一部でポテトチップスが流通していたようですが、日本の菓子メーカーが量産販売するようになったのは1960年代に入ってからです。

1960年代は、今なお愛され続けているロングセラーのスナック菓子が次々に発売されました。
1964年には「かっぱえびせん」、66年には「ポッキー」、そして「カール」発売は68年で、いずれも半世紀近い歴史があるわけです。

人間の五感の中で最も記憶と強く結びつくのは嗅覚だそうですが、味覚も記憶が薄れにくいと言われています。子どもの頃に慣れ親しんだ味は、大人になって食べる機会が減ったとしてもいつまでも残っていてほしいと願うのは自然な感情なのでしょうね。

さて、スナック菓子は大きく

ジャガイモを原料とした「ポテト系」: ポテトチップス、等
トウモロコシを原料とした「コーン系」: カール、等
小麦を原料とした「小麦系」: かっぱえびせん、等

に分かれます。
日本スナック・シリアルフーズ協会によると、2016年におけるスナック菓子の出荷額は全体で2,764億円とのことです。
少子化の中、大人向けの商品開発も功を奏しているのか、スナック菓子の生産は増加傾向が続いています。内訳をみると特に「ポテト系」が伸びてきており、2016年では出荷額全体の7割以上を「ポテト系」が占めています。

スナック菓子の出荷額


出典:日本スナック・シリアルフーズ協会

「コーン系」や「小麦系」も生産量を維持して健闘しています。
ただ、スナック菓子は価格のわりにかさばる商品ですし、コンビニやスーパーの棚割りはシビアですので、「ポテト系」人気に押されがちの状況といえるでしょう。

スナック菓子全体の消費動向をみると、2000年代の半ばに一時消費が落ち込んだ時期がありましたが、その後回復してきています。
スナック以外のお菓子では、チョコレートへの支出が年々増加しています。和菓子では、まんじゅうの消費が減少傾向にありますが、意外とせんべいは根強い人気ですね。

一世帯あたり年間支出額


出典:総務省「家計調査」

ただ、上記のデータには自分で食べる分だけではなく贈答用なども含んでいると考えられます。せんべいやチョコレートに関しては贈り物としての需要も大きいかもしれません。
スナック菓子についても、例えば東日本地域に住む人へのおみやげとしてカールを購入する等、今後は贈答用消費も出てくるようになるでしょうか。

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