みなさんは「相対年齢効果」という言葉を聞いたことがありますか?
日本の場合、「1学年」には、ある年の4月2日から翌年の4月1日までに生まれた人がいるわけですが、4月2日生まれと翌年の4月1日生まれとでは、実年齢に1歳の違いがあります。
同じ学年であっても、先に生まれた人の方が日単位で計った実年齢が上であるため、肉体的にも精神的にも成長が早く、学業やスポーツでよい成績を収めやすい傾向があることを「相対年齢効果(Relative age effect)」と言います。

年齢を重ねると1~2歳の違いはあってないようなものかもしれませんが、小学校1年生での1歳の違いは非常に大きなものでしょう。
たとえば、野球やサッカーなど幼少時からはじめるスポーツでは「4月~7月」生まれの選手が多いと言われていますし、中学受験を経て入学する国私立中学校では、1月1日から4月1日までの間に誕生日がある、いわゆる「早生まれ」の生徒が相対的に少ない傾向があるとの研究報告もあります。

まずは、平成27年の国勢調査結果から、日本人の出生月の分布をグラフにしてみました。
40歳くらいまでは、「7月~9月」生まれの人が一番多いものの、4区分のそれぞれがだいたい1/4ずつとなっており、出生月区分別の人口構成比に大きな違いはありません。
その後、年齢が上がるにつれて、「4月~6月」生まれの人口構成比が低下する一方で、「1月~3月」生まれの人口構成比が高くなっています。ひょっとして、「早生まれ」の人の方が長生きなのでしょうか?

日本人の出生の月(4区分)


出典:平成27年国勢調査(総務省)結果を加工して作成

次に、プロ野球選手やJリーガーの出生月の分布を調べ、グラフにしてみました。

プロ野球選手の出生月


ベース:2017年3月時点でプロ野球12球団に所属する日本人選手(n=730名)
出典:日本野球機構公開データを加工して作成。

Jリーガーの出生月


ベース:2017年3月時点でJ1の18クラブに所属する日本人選手(n=488名)
出典:日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)公開データを加工して作成。

野球、サッカーともに、「早生まれ」の選手は相対的に少なくなっています。
特にサッカーでは出生月による違いが大きく、「4月~9月」生まれの選手が全体の2/3を占めています。

スポーツ選手の出生月

グラフの向きが変わりますが、ラグビーや水泳などの他のスポーツについても調べてみました。

注:陸上・水泳のリオ五輪代表選手とバスケット・バレーボールの日本代表選手は、男女の合計。
出典:各競技団体等のホームページ公開データを加工して作成。

陸上や水泳などサンプル数が少ない競技もありますが、同じチームスポーツであるラグビーなどの他の球技に比べると、野球やサッカーでは相対年齢効果が出やすいようです。
「U-○○」などの年代別の代表選手を構成する際には、生まれ月別に複数のチームを設けるなど、「早生まれ」の子供たちが今よりも多くのチャンスを得られる方策を検討する必要がありそうですね。

月別(4区分)の出生数割合の推移

さて、以下は、「人口動態調査」(厚生労働省)の「月別にみた年次別出生数」のデータをグラフにしたものです。

戦前は、月による出生数の差が大きく、「1月~3月」生まれの割合が高く、6月生まれが少ない傾向があり、戦後も前回の東京オリンピックが開催された1964年頃までは同様の傾向が続いていました。その後、月による差は少なくなっていき、1970年以降は月による出生数の差はほとんどなくなっています。
年齢が上がるにつれて「1月~3月」生まれの人口構成比が高くなっていたのは、「早生まれ」の人の方が長生きということではなかったのですね。

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