ミツカン水の文化センターが実施した「水にかかわる生活意識調査」によると、節水意識の低下が続いているそうです。

同センターのホームページに、1995年の第1回調査から2015年の第21回調査までの結果がすべて公表されていましたので、「家庭における水の使い方」について過去21年間の推移をグラフにまとめてみました。

「Q. あなた(またはあなたのご家庭)の水の使い方」
節水してますか?
※1 「ミツカン水の文化センター」公表データをもとにGWSにて作成。
※2 2015年調査は、2015年6月に東京圏・大阪圏・中京圏在住の20~69歳男女1,500名を対象としてインターネット調査方式にて実施。
※3 1995~2009年はファクシミリにて調査票を送付し、ファクシミリにて回答票を回収する方式にて実施。
※4 2010年以降はインターネット調査方式にて実施。
※5 1995年/1996年/1999年/2000年の数値については、「不明」を除く合計を100%として按分。

2015年の第21回調査では「家庭における水の使い方」について、「かなり節水や再利用をしている」と「多少節水などしながら水を使っている」を合計した「節水を行っている」人の割合が46.0%と、インターネット調査方式に移行した2010年の61.8%に比べ15.8ポイントも低くなっています。
その分「気にしながらも、特に何もせず水を使っている」人の割合が2010年に比べ11.4ポイント増えており、特に2014年以降の増分が大きくなっています。

エコ意識・環境意識が高まってきている状況で、ちょっと意外に思われる結果ですが、アサヒグループホールディングスお客様生活文化研究所が2015年6月に実施した、「エコライフ」に関する意識調査によると、家庭で最も重視している「エコ対策」は、回答が多いものから順に「節電」(66.3%)、「再利用(リサイクル)」(13.2%)、「家庭ごみの処分」(8.6%)で、「節水」(8.1%)は第4位だそうです。
さらに、過去の調査結果と比較すると、このところの傾向として「節電」から「リサイクル」「家庭ごみ」に意識が移行している様子がうかがわれるとのことです。
節水してますか?
※1 出典:「アサヒグループホールディングス」ニュースリリース。
※2 2015年調査は、2015年5~6月に全国の20歳以上の男女を対象としてインターネット調査方式にて実施。最終回収数n=1,820人。

さて、横浜市水道局が3年おきに実施している「水に関するお客様意識調査」でも節水意識について調査していますので、そちらの結果もみてみましょう。

「Q.日ごろ、水をどのように使っていますか?」-横浜市
節水してますか?
※1 「横浜市水道局」公表データをもとにGWSにて作成。
※2 2014年調査は、2014年5月に横浜市内に居住する20歳以上の男女を対象としてメール便配布、郵送回収方式にて実施。最終回収数n=1,619人。
※3 「無回答・特に気にしていない(2002年のみの選択肢)」を除く合計を100%として按分。

2014年の横浜市の調査では「まめに節水して使っている」と「ある程度節水しながら使っている」を合計した「節水を行っている」人の割合が73.5%となっており、「ミツカン水の文化センター」調査の結果とは大きく異なっています。
これは調査方法・対象者の属性などの違いの他、質問文や選択肢のワーディング・質問のフローなどの調査票の内容が異なっていることによるものと思われます。

誰に、何を、どのように聴くかによって得られる情報が大きく異なる場合がありますので、調査結果から「日本人の〇%が節水意識を持っている」というように決めつけることはできませんが、「ミツカン水の文化センター」調査や「横浜市」調査のように「定点観測」的に継続して調査(「トラッキング調査」)を行っていれば、「以前に比べて増加/低下傾向にある」ことを見極めることができます。

「横浜市」調査について2011年と2014年の結果を比べてみると、「節水は必要と思いながらも、実行はしていない」人の割合が16.6%から23.4%へと6.8ポイント増加しており、「ミツカン水の文化センター」調査と同様の傾向となっています。
調査仕様や調査実施者が異なる2つの調査において、「節水は気になるが、実行してはいない」人の割合が増えてきているという結果が見受けられていますので、節水意識が薄れつつあるということがいえそうです。

ついでながら、我が川崎市についての情報もご紹介しましょう。
川崎市上下水道局が2013年に実施した「市民意識調査」の結果は以下の通りです。

「Q.あなたは、日頃、節水を心がけていますか?」-川崎市
節水してますか?
※1 「川崎市上下水道局」公表データをもとにGWSにて作成。
※2 2013年8月に川崎市内に居住する20歳以上の男女を対象として郵送方式にて実施。最終回収数n=1,400人。
※3 「無回答」を除く合計を100%として按分。

「まめに節水して使っている」と「ある程度節水しながら使っている」を合計した「節水を行っている」人の割合が82.7%と「横浜市」調査の結果よりもやや高くなっていますが、これは(「ミツカン水の文化センター」調査と同様に)「横浜市」調査の質問文のワーディングがニュートラルな感じがするのに対して、「川崎市」調査では「節水を心がけているかどうか?」をストレートに問いかけている点の違いによるものかもしれません。

さて、神奈川県は国内でも有数の水源に恵まれた土地柄ですので、よほどの少雨や猛暑でない限り水不足の不安はないといわれていますが、飲み水をつくったり下水をきれいにしたりするためには多くの電力が必要となります。
家庭での日頃の節水の取り組みが、最も関心が高い「エコ対策」である節電にもつながるわけですね。
以下に「家庭でできる節水方法」をいくつかご紹介しますので、ぜひ皆さんも取り組んでみてください。

<家庭でできる主な節水方法>
【洗面・手洗い】蛇口はしっかり、こまめに止めて、ムダな水は流さない。
【歯みがき】うがい用の水はコップに汲んで使う。
【お風呂】お湯の張りすぎ・沸かしすぎに注意する。
【洗髪】シャワーの水を流しっぱなしにしない。
【洗濯】お風呂の残り湯を有効活用する。
【炊事】食材や食器を洗う時に水を流しっぱなしにしない。
【トイレ】大小レバーを使い分ける。
【その他】洗濯機・便器・シャワー・水栓など節水型機器を使う。

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